新約聖書に「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉があるそうです。
故事ことわざ辞典
意味は、
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新しい酒は新しい革袋に盛れとは、新しい思想や内容を表現するには、それに応じた新しい形式が必要だということ。
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なのだそうな。
この言葉を知ったのは、過去記事でも何度か紹介してます
『銀河英雄伝説』
で、ゴールデンバウム朝打倒後に旧体制の内務省社会秩序維持局長官ラングから「内国安全保障局」を提案したときにオーベルシュタインが「古い酒は新しい革袋にだな」と発言したのをどういういわれのある言葉だろう? と調べてみたら行き着きました。
■まったく新しいものなんてない
最近、『仮面ライダーから牙狼へ』
という本を読んだのですが、著者の大下英治氏は、ゲゲゲの鬼太郎、タイガーマスク、仮面ライダーなどをヒットさせ、その後も「スーパー戦隊シリーズ」の「秘密戦隊ゴレンジャー」などを生み出していますが、その時のエピソードが、有名な歌舞伎
『白浪五人男』
で、5人衆が揃って大見得を切る場面から、あの有名なセリフ「5人そろってゴレンジャー」というのが出てきたのだそうな。
ちなみに、『君の名は。』も同じく、
Z会のCM「クロスロード」
小野小町の和歌
「思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを」
『とりかへばや物語』
をモチーフにしているとか。
※Wikipedia
※ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E3%81%AE%E5%90%8D%E3%81%AF%E3%80%82
※より
※
※ちなみに、
※ 『とりかへばや物語』
※は、平安時代に男女兄弟が入れ替わる物語です。1000年前の物語とは思えないような本です。面白いですよ。息抜きにいかが…?
本書『仮面ライダーから牙狼へ』では、
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新企画を立てる時は、「新鮮さに欠ける」「二番煎じではダメだ!」という意識が働きやすい。
しかし「新鮮さ」だけを求めすぎると大衆性を失い、大向こうを狙いすぎて偏った傾向に陥りやすい。
過去の成功例を追い求めると、焼き直しで古くさくなってしまうから、そのバランスを取るのが大事である。
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と書かれており(適当に意訳)、仕事の上でもアイディアを出すというのは同じようなことなのかもしれない、と思ったりしています。
■古い酒でも新しい革袋に入れれば新しく感じる
冒頭の銀河英雄伝説のセリフではありませんが、過去に使い古されたアイディアでも、新しい革袋(名称や適用先を変える)だけで十分新しいアイデアになりえます。いまどき、「アイディアを出せ」などはよく言われるのですが、人間1万年も続いているのだから、そんな突拍子もないアイディアなんて出るわけありません。
それよりも、過去にやったことを調べて、それをちょっとだけ見た目を変えたり、時代や環境に合わせたりしたほうが楽だし、それなりに効果も見込みやすいです。
今、はやりの "IoT" にしたって、昔からある「装置間通信」に新しい革袋をかぶせただけなんですから。
人のやったことを、自分が言葉を変えて言い出せばそれはそれで、「新しいアイデア」なんですよ。