本日は、時間術に関して、著名な本を批評した時間術の本の批評部分のご紹介。

昨日も紹介しましたが、この本に書いてあった内容です。

 

 「すり減らない」働き方 (青春新書INTELLIGENCE)

簡単にまとめましたので、筆者の言いたかったことが一部欠けているかもしれません。
その可能性がありますので、筆者がどのように考えて、これらの本の批評を書いているかについては、実際に本をあたってみてください。


■「残業ゼロ」の仕事力


 「残業ゼロ」の仕事力
 吉越浩一郎

本の内容は、胸を打っものです。口本がいかに残業大国であるかについて、冒頭から具体的かつ衝撃的なデータやファクトが並びます。
結果として、彼は残業ゼロを徹底したうえ、会社の業績も大きく上げました。素晴らしいサクセスストーリーです。

でも、週に1度のノー残業デーの導入すら大変だということです。ノー残業デーの導入から段階的にすすめ、ついには毎日完全ノー残業に移行した同社の苦労はこの本で書いてある以上に大変だったと思います。

なぜ、この手の改革が大変なのか?
それは意識改革が必要だからです。「意識」を「改革」するのですよ。今までの常識を変えるのです。

この本を読んだ人は、無事に残業を減らすことができたのでしょうか?
残業ゼロを達成することができたのでしょうか?

たぶん、難しいと思います。この本や吉越氏にケチを付けるつもりはありませんが、この本自体が、日本の残業問題の限界を物語っているように思います。
これを実行するのは厳しいと思います。

なぜなら、この本は一般のビジネスパソーン向けの本のようで、じつは経営者向けの本だからです。この本が提示している決定的な事実と限界は、残業時問を減らすための答えの1つは、トップ自らが陣頭指揮をとり、計画と実行を行わなければならないということです。
このような、残業を減らすことに熱心なリーダーがいなければ、難しいということです。とい、つわけで、残業時間の削減は個人的な努力だけでは困難であるという現実を、逆にこの本は示しています。これは一つの大事な示唆です。

■7つの習慣


 7つの習慣―成功には原則があった!
 スティーブン・R・コヴィー

説明する必要がないほど、読み継がれているビジネス書の名著です。もともとは1989年に出版された本で、各国の言語に翻訳されており、全世界で2000万部、日本では1996年に発売され、累計130万部以上売れています。

たしかに、このやり方(重要・緊急で仕事を分けること)は多くの人に支持されているだけあって、本質をついています。
しかし、決定的な弱点があるのです。それは、普通の人は重要か緊急かを判断するのが難しいということです。

何からやっていいのかわからないから悩んでいるのであって、優先順位を付けろと言われたところで、思考が止まるだけです。判断軸は自分で考えなければなりません。また、優先順位を付けることと、できるかできないか、やるかやらないかはまた別の話です。分類したところで、そのやり方や細かい手順を分解できずに困る人だっています。
この考えは、何が大事で、何が大事でないのか、ちゃんと考えろという根元的なメッセージを含んでいるのだと解釈しています。

だから、とくに若手社員や、時間の優先順位付けが下手な人は、だれか相談相手を見つけて、相談しながら毎日のように取り組むとよいでしょう。

とはいえ、そこまでやらないといけないのでしょうか。
それこそ、本書に例として出されているのボストンコンサルティンググループ日本法人の取締役クラスの方が1日あたり2~3時間分もかけているという事実は、優秀な人でも、使いこなすにはこれくらいのパワーが必要だということを物語っていると思います。

また、自分で優先順位を付けたところで、そんなものは簡単に勤務先や取引先の論理で木端微塵に粉砕されるというのも、わかりやすい課題です。
いくら自分でコントロールしようと思っても、他者の論理でたやすく崩されてしまうのです。これが、普通の会社員の課題なのです。

■TIME HACKS


 TIME HACKS!
 小山龍介

この「TIME HACKS」は「時間はフローするだけでストックできない」という根本的な問題提起から始まります。
その通りです。

ところで、ハックシリーズを読めば、即、仕事ができるようになるのでしょうか。本書のテーマでいうならば、劇的に生産性が上がって忙しくなくなるのでしょうか。
残念なことに答えはNO です。この本も致命的な限界を抱えています。さらに言うならば、読まれ方がじつに残念なのです。

どういうことか、説明しましょう。

ハックシリーズは、オシャレです。キャッチーです。頭良さげです。著者の経歴もピカビカです。こういう本は私には書けません。ただ、このようなイメージに惹きつけられて読み、実践しようとすると痛い目に合うのが関の山。というのも、ハックシリーズの本、それぞれには根本となる思想、「哲学」があるのです。それを理解せずに、表面的にテクニックを真似するだけでは、本当の効率化ははかれません。

なかには職場のルールの関係や、自由に使えるお金の関係で真似ができないものもあります。道義的に問題があるものも、さらりと紹介されています。

たとえば、「会議室を借りて、そこで仕事をして電話を遮断する」というハックが紹介されていますが…。これは他の社員に迷惑をかける行為ですよね。会議室不足はどの会社でも問題となっているのですから。

体系的にまとまってはいるのですが、なんせ、紹介される数が多い。これは仕事術、時間術の本全般にいえることですが、「ここまでやらなければならないのか…」というプレッシャーを与えかねないという点は指摘しておかなければなりません。

■「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!


 「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!
 池田千恵

いわゆる「朝活」の本です。その中でも、もっとも話題になった本ではないでしょうか。

私も朝活派です。朝活に関する本を書いたこともあります。最近は疲れをとるためと、記憶を定着させるために、睡眠時間を長くしているので6 時に起きていますが、以前は4時か5 時に起きていました。睡眠時間はいつも4 時間半くらいでした(最近は6時間に増やしています)。

仕事関連の朝活は非常に効率的です。

ただ、彼女のこの本に限らずですが、「朝活」と言われて、多くの人が感じるのは、「そんなに早く起きることができない」ということでしょう。
その気持ちはよくわかります。「疲れているので無理」「血圧が低いので苦手」など、言い訳はいくらでも出てくることでしょう。

なお、いうまでもないですが、朝活で仕事をするというならば、その日に使用する書類などを朝に作成するのは、危険ですね。
寝過ごすリスクがあるからです。とくに疲れているときや、飲酒をしたあとは、寝坊の可能性は大。明らかに朝活に向いていない仕事というものはあるのです。

■レバレッジ時間術


 レバレッジ時間術―ノーリスク・ハイリターンの成功原則 (幻冬舎新書)
 本田直之

本田直之氏といえば、「日米のべンチャー企業に資本・経営参加し、少ない労力で多くの成果を上げるためのレバレッジ・マネジメントを指導」しているのですが、正直、何をやっている人なのか、よくわかりません。そう思っている人も多いのではないでしょうか。

この本はタイトルに「時問術」とうたいつつも、実際はいかにも本田直之的な「レバレッジ」という考えが全面に押し出されたものになっています。
この本がいいたいことは、ゴールを考えて、時間を有効に投資するべきだという考え方なのですが。

自分の人生のゴール、将来につながりそうなことに時間を投資しようという考えには激しく同意しますし、そこを起点に考えるということを批判するつもりはまったくありません。
ただ、出てくる話が、いちいちぶっ飛びすぎていて、そこをかっこいいととらえるか、そんな無理なことを言われても……、と批判的にとらえるかによって本書の評価は大きく分かれることでしょう。

たとえば、仕事に時間割を作ろうと言われても、取り入れられる部分はあるものの、会社や顧客の都合でコントロール不能になったりするわけです。マンスリーカレンダーでの管理では、アバウトすぎて忙しい毎日はコントロールしきれません。

もちろんビジネス書というのは、真似できる部分を真似すればいいし、そこには個人の努力も必要です。しかし、ハワイ在住の売れっ子ビジネス書著者の言うことは、超越していてイメージがわきづらいのです。

この手の本では、目を引くような時短術などが紹介されるわけですが、そこでの大事な視点は「普通の人が真似をできるかどうか」ということです。そう、その時間術を活用できるかどうかは、環境によって規定される部分も大きいのです。

■終わりに


2日間にわたって、

 「すり減らない」働き方 (青春新書INTELLIGENCE)

を紹介してみました。

この引用を読まれて、「お?」と思われた方、「いやいや、著者の見方がちょっと」と思われた方、色々見えると思います。
私の引用の仕方がまずくて、著者 常見 陽平氏の意図と違っているのかもしれませんので、詳しくは本書をご参照ください。

■関連する記事

時間を買う

特急券・座席指定券大阪から東京まで移動することがあったとして、あなたはどんな手段を使うでしょうか?新幹線(のぞみ指定席)\14,050新幹線(ひかり指定席)\13,220新幹線(こだま指定席)\13,220新幹線(自由席)\12,710夜行バス\ 9,800~\ 5,000格安航空券\ 9,880~\10,800青春18きっぷ\ 4,260ちょっと調べてみたところ、こんな感じ。それなら安いほうが..

情報が聞きたければ話してはいけない

情報収集が上手い人がいます。私の場合は、つい話しすぎて、あとで「あちゃ~」と思う場合がよくあるのですが、とくにコンサルタントを名乗るような人は大抵、核心部分の質問にうまく持ってかれます。ここには実はいろいろなテクニックがあるようです。コンサルタントの話題を引っ張る技術コンサルタントは、自分の仮説を証明する事実をラインスタッフから聞き出そうとします。ただ、大抵の場合、社外の人間に対しての発言は、結構気を使いますので、本音..

マイナス言葉を言い換える

過去記事で、何度か「禁句集」というのを書いてます。「したいと思います」は禁句>>言ってはいけない言葉この理由についても、それぞれの記事を参照していただければいいですが、この禁句のなかで、マイナス言葉というものがあります。マイナス言葉マイナス言葉を言い直せ「言い直し言葉」を使う習慣をつけましょう。何度かふれた中村天風は、言葉..

かっこいいグラフを作れるテンプレートChartChooser

コンサルタントが作る資料って、かっこいいですよね。もちろん、それで生計を立てているプロなんだから、シロートと比べられたら、コンサルタントは怒るでしょうけど。グラフの種類は多くないでも、結構多くのコンサルタントの方とお付き合いした経験からして、実際に使っているチャートはそれほど多くはないようです。つまり、あるテンプレートがあって、それにデータを食べさせればいいように作ってあるみたいです。まあ、そのくらいでないと効率的には作業でき..

15分散歩してから会社に行く

朝、出社するときにどのくらい歩きますか?私は会社の最寄り駅についたら、ちょっと大回りをして会社に行くようにしています。朝リズム運動をすると気分が乗る朝、会社に行くのに「だるいな~」と思いながら、眠い目をこすりながら歩いて会社につくと、「さて、今日も頑張るぞ!」っていう気になりますかね?私にはちょっとムリ。過去記事でも何度も書いてますが、・朝は日の出とともに起きる・朝の出社時間競争をすると仕事の効率が良くなります。仕事のやり..

ポストイットToDo管理法

ポストイットToDo管理法優れた ToDo の条件を挙げるなら、1 にも 2 にも、まず「見逃さないこと」です。あるとき、「それじゃあ 2 時間後に電話します」と」言って電話を切って、そのとき使っていた TODO リストに書き込みました。これで安心!と言いたいところですが、その後、その TODO リストを開く機会がまったくなく、再び開いたのは 5 時問後……。電話をすることを..

■同じテーマの記事

TimeHacks:ToDoリストの管理方法

ちょっと書籍『TIME HACKS!』から拾った ToDo(タスク) リストの管理方法をご紹介。待ち受け画面にToDoを表示するいつも目に留まるように、机の前に TODo リストを遣いておくことをオススメしましたが、人によっては「もっと目に留まるところがあるじゃないか」と思われるかもしれません。それは、携帯電話の待ち受け画面。携帯電話は、とくにメールを頻繁にやり取りする人にとって..