先週は我が社の提案強化週間でした。

なにをするかというと、

 「みんなで、会社の改善の提案をしよう

という活動。

部門で提案件数が集計されて、それで部門の評価が決まります。
提案した個人に対しては、1件につき××円。優秀な提案については別途金一封。

部門のマネージャとしては、結構プレッシャーがありますので(部門の責任者会で結果が発表される)、頑張って提案を出してもらえるよう促進するのですが、なかなか提案がでない。

「改善するポイントなんていくらでもあるだろう」と思うのですが、その状況になれてしまっているとなかなか見つけられない。その上、提案に説得力がない。


■説得力のある提案


そこで、ふと気がついて優秀と認められる提案と、単に「枯れ木も山の~」の提案との違いについてちょっと比較してみました。

 ●コピー機には使用済みの紙を入れて、紙代を節約する

これ、ボツ案の提案。

優秀案になった提案は

 ●1日のコピー枚数は1部門あたり約200枚。1枚0.5円で裏面を使うようにすると1年で20,000円の節約ができる。そのお金で給茶機の茶葉の補給の30%が可能。

違いがわかりますよね。

こっちのほうが圧倒的に説得力がある。
数字が本当かどうかは別にして。


■違いその1:数字にする


説得力の違いはまず、数字で表していることです。

数字が書いてあるとイメージがしやすいですよね。
でも、その数字は、「アイディアが100%うまく行ったとして」という話で、多くの場合は「捕らぬ狸~」なんですが、ざっくりしたボリューム感を与えるのには、すごく役立ちます。

この数字、どのみち正確である必要性はありません。相手がイメージできて、そこそこであれば問題ありません。
どうやるかというと、朝コピー機のところに行って、ページカウントをメモします。夕方もう一度ページカウントをチェックすれば1日に大体どのくらいのコピーがされたかわかりますよね。後は、それを年間就業日数を掛け算してやれば、おおよそのところは出ます。

コピー用紙の値段なんてのは、ちょっとネットで検索すれば簡単にわかります。
実際には会社としてまとめて買うので、もっと安いのでしょうけど。

以前に思考術のセミナーで、こんな質問がされたことがありました。

 ・日本にいるペットのイヌは何頭くらいだと思いますか?
 ・日本の電信柱の数は何本あると思いますか?

例えば前者であれば、

 ・日本の人口は大体1億2000万。世帯数はまぁ、1世帯3人弱とすれば5000万くらいでしょうか。近所を見回してみて、イヌがいるのは4~5世帯に1匹くらいなので、大体1000万頭くらいかな。

ってはじき出せば、

 ・ドッグフードビジネスをは儲かるかもしれませんよ。

というより

 ・日本にはイヌが1000万頭くらいいるので、その食費として5万円としても、年間5000億円の市場がありますよ。

といったほうが印象は強いでしょう。
※ちなみに調べてみたら、イヌは1300万頭。ドッグフード市場は3000億でした。

■違いその2:目的


直接利益に結びつくようなものであれば、目的をいう必要はありませんが(周知なので)、何かの節約や業務効率化などのような提案には、絶対必須なのがこの目的

要するに、時短術でもそうなのですが、タスク時間を短縮して、その結果空いた時間を何に使うのかです。1時間かかっていた仕事が30分でできるようになったとして、空き時間は

 タバコをふかして、ぼーっとしてました

ではまったく意味が無い。

これがない提案が結構多いのですよ。

 勤務時間を記録する作業は生産性がないので、誰か別の人にやって欲しい

とか。

 稟議書を書く時間が無駄

とか。

 「いや、ムダを省くのはいいけど、それで何をしたいの?

と思っちゃう。

■提案には数字を入れる


ということで、何かを提案したいときには

 ・エイヤッでいいので数字を入れる
 ・提案する相手が納得できる目的を述べる

といいですよ、というお話でした。

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