■議論にならない
議論をしていて、どうしても主張がかみ合わないとき、私はこの言葉を思い出す事が多いです。
勝負している土俵が違う
もともと、相手の得意な所で勝負することを「相手の土俵に上がる」とか、対等に交渉することを「同じ土俵」といったりしますよね。
ここで使っているのは、
同じ意味の言葉を使う
ということ。
■言葉の意味は人それぞれ
人によって使っている言葉の意味は違っているのが普通です。
極端な例で言うと
「いい天気」
というのは、日本で言えば「雲が少なくお日様がさんさんと降り注いでいる状態」を指しますが、赤道付近の人は、「曇っていて過ごしやすい天気」(向こうは日差しがきついですからね)を指す場合が多いみたいです。
同じ事が、「リーダーシップ」「コミュニケーション」「組織力」などにも当てはまります。
辞書でちゃんと調べて、その定義を使ったとしても、どのように理解するのかは、「どのような状態をイメージしているか」によって変わってきて、それはその人の置かれている現在と過去の環境、その人の嗜好などにもよります。
だから、全く同じ意味の言葉を使うことはありえません。
■コミュニケーションギャップ
ドラッカーは「プロフェッショナルの条件」でこう書いてます。
★――――――――――――――――――――――――――
情報が多くなっても、その質がよくなっても、コミュニケーションに関わる問題は解決されないし、コミュニケーションギャップも解消されない。逆に、情報が多くなるほど、機能的かつ効果的なコミュニケーションが必要になる。つまり、情報が多くなれば、コミュニケーションギャップは、縮小するどころか、むしろ拡大しやすくなる。
――――――――――――――――――――――――――★
恐ろしいね。
でもまさにその通りで、10年前にコミュニケーションギャップをそれほど意識したことは少なかったような気がしますが、最近は頻繁に「あ、ずれてる」とか思うことが少なくありません。
もちろん、自分の立場が変わって、より抽象的な議論をすることが多くなったため、という点もあるのでしょうけど。
■土俵を同じにする
同じ土俵で勝負(議論?)するためには、2つの方法があります。
・意味を明確にする
・具体例を上げる
人間は言葉を右脳と左脳で同時に処理しているそうです。
いわゆる、イメージと論理。
「意味を明確にする」というのは、「コミュニケーション」とは「会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。(Goo国語辞書より)」みたいに、ある言葉を別の言葉で定義することです(私の場合は、たとえば「コミュニケーション」であれば、「仕事に必要な情報を相手に渡し、渡した結果を受け取ること」みたいに定義してます)。
「具体例を上げる」というのは、「それを行動で表した時に、例えばどんなことをすること?」を何通りも言って見ることです。
このブログでも、よく「例えば…」というのを書きますが、これはその使っている意味を明確にするためのものですね。
つまり、事例を上げることによって、それを疑似体験し、それによって形成される「言葉から連想されるイメージ」を共通化しようとしているわけです。
私はこの行為を「輪郭を描く」と読んでます。つまり、その言葉やイメージは超能力でもない限り「そのもの」は伝わらない。なので、「これは含まれる」「これは含まれない」というのをひとつづつ上げていくと、その言葉の有効範囲が相手にも徐々に(「徐々にしかわかりませんが)わかります。それが重なると、だんだんコチラの言っている言葉の意味が、ボンヤリと理解できるようになるわけです。
実際にはこれらの意味・具体例を複合的に使い、具体例はなるべくたくさん上げるようにしないと、結局伝わりませんね。伝わらなければ
同じ土俵に立つ
ことにはならない。
そのためには
百万の言葉を尽くす
必用があるのですけど、いくらなんでもそんなことをしていると、言葉の意味を伝えるだけで、自分の人生が終わっちゃう。
ま、適当なレベルを見極めて、とっとと本題に入るのが「吉」ですね。
これがまた難しいんですけど。
■本日の参考資料
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