たいていの活動には目的がありますよね。その目的を達成するために手段があります。
では、目的は何によって定義されているでしょうか?
■目的の目的
すごく抽象的な話で恐縮ですが、目的には目的があります。
たとえば、何かを組み立てる時
ネジを確実に締める
という目的があったとすると、それは手段として
適正なトルクに設定されたトルクドライバーを使う
という手段が出てきます。
じゃあ、「適正なトルクに設定されたトルクドライバーを使う」には、「適正なトルクに設定する」という手段と、「設定されたトルクドライバーを持つ」という手段が出てきます。
つまり、(ここから一般化するにはちょっと強引ですが)あらゆる行為には目的と手段の対があって、手段をさらに分解しようとすると、手段を目的に置き換えて、それを達成する手段が更に出てくる。
絵にするとこんなふう。
目的
↓
手段 = 目的
↓
手段 = 目的
↓
手段 = 目的
:
:
:
:
当選ながら目的を達成する手段はひとつではなくて、同時に複数個の手段を組み合わせないと目的は達成できない場合が多いですが、ここでは、手段をひとつだけまとめて書いてます。
なにがいいたいかというと、
目的を手段とするより上位の目的がある
ということ。
これを私は、「目的の目的」と呼んでます。
■創造力とはより広い視野で物事を見ること
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成功した人々を研究してみると、みな一様に問題をその背景全体とともにとらえている。そして、彼らは解決策と、拡大された目的の関係を理解しようとしていた。
これは、問題に対する目的の系列化〔目的展開〕をさせたことを意味する。
彼らを研究するうちに、目的〔展開〕が効果的問題解決に欠かせないことがわかってきた。あらゆる問題を}さらに広い視野}で眺めることを可能にし、創造力を発揮させるきっかけともなるのである。
ジェラルド ナドラー(著) 『新・ブレイクスルー思考―ニュー・コンセプトを創造する7つの原則』
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本書では、この「目的の目的」が「さらに広い視野」と書かれています(と、理解しました)。
「ネジを締める」という目的を達成するためには、「適正な締り具合を保証する」必要があり、そのために、「適正に調整されたトルクドライバー」が必要なわけです。
ここで、「適正に調整されたトルクドライバー」に着目してしまえば、「日々点検にトルクの確認作業を追加する」「トルクの測定器を購入する必要がある」という議論になりますが、「目的の目的」に着目すれば、
「そもそもネジって不要にできないの? はめ込みでいいじゃん」
「適当に締めてもちゃんと締まるネジを採用しよう」
という発想が出てきます。
イマドキの会社で重宝されるのは、こういう発想をする人ですね。
かつての日本の製造業は「ちょっとだけ改善をする」「小さな改善を積み重ねて全体で大きな改善にする」みたいな考え方が主流でした。
もちろん、こういう考え方が不要になったかというと、そんなことはなく必要です。しかし、一方で、ジャンプアップする発想、すなわち改善ではなく改革をすることも最近は強く求められます。
発想法としてはちょっと違うものですが、根本的には同じです。
違いは、目的や手段に着目するか、目的の目的、目的の目的の目的…に着目するかの違いです。
そこを変えてしまえば、今やっていることなんて、単なる時間の無駄にできちゃうかもしれません。
■ブレイクスルーを起こす7つの法則
ついでながら、本書『新・ブレイクスルー思考―ニュー・コンセプトを創造する7つの原則』に紹介されていた、ブレイクスルーを起こす7つの法則について、ご紹介しておきます。
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●7つの成功の原則
・独自性〔ユニーク“差”〕の原則
・目的〔展開〕の原則
・理想システム〔先の先から見たあるべき姿〕の原則
・システムの原則
・必要〔目的“適”〕情報収集の原則
・関係者関与〔参画・巻き込み〕の原則
・変革継続〔継続変革〕の原則
ジェラルド ナドラー(著) 『新・ブレイクスルー思考―ニュー・コンセプトを創造する7つの原則』
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ご参考にどうぞ。
■参考図書 『新・ブレイクスルー思考―ニュー・コンセプトを創造する7つの原則』
「認識論を変え、問題解決の方式を転換し、思考を変える」新しい思考法として、さまざまな分野で用いられるようになったブレイクスルー思考。その研究と実践を改めて紹介する。91年刊「ブレイクスルー思考」の新版。 |
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新・ブレイクスルー思考―ニュー・コンセプトを創造する7つの原則 著者 :ジェラルド ナドラー | 楽天では見つかりませんでした | DMMでは見つかりませんでした |
●このテーマの関連図書
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