あなたの家に突然NPO団体の人がやってきて、

 「交通安全の啓蒙のために、家の庭に高さ2mほどの交通安全の看板を建てさせてほしい」

と言ってきたらどうしますか?

 冗談じゃない!
 それじゃあ家の日当たりは悪くなるし、庭のメンテナンスも面倒になる

で、普通は断りますよね。

では、「玄関横に小さなステッカーを貼らせてくれ」だったらどうでしょう。

 「まあ、そのくらいなら…」

で半年後に最初のお願いをしたらどうでしょうか?

実は実際にアメリカでこの実験をしたそうです。

いきなり大きなお願いをした時には、17%(これでもすごい率だと思いますが)が同意してくれたのに対して、ステッカーから始めたグループは72%もの合意が得られたそうです。

★――――――――――――――――――――――――――
こうした要請を承諾する人はどれぐらいいるでしようか。社会心理学者のジョナサンフリードマンとスコットフレイザーが行った実験によると、先に述ペたような高級住宅街では要請を受け人れた世帯は17パーセントでした。
ところが驚いたことに、あまり重要とも思われないある行為をこの要請に追加しただけで、別の住民グループでは76パーセントもの同意が得られたのです。一体何を追加したのか、また、それは人を効果的に説得するのにどう役立つのでしようか。

実は、別の住民グループのところには、立て看板に関する厄介なお願いをする二週間前に、別の研究助手がほかの依頼をしに行っているのです。それは、「安全運転しよう」と書かれた小さくてあまり日立たない紙を窓に貼らせてほしいというものでした。大変ささやかなお願いだったので、ほとんどの住民は同意してくれました。そして二週間後に別の人がやって米て、美しい前庭に目障りな肴板を立てさせてほしいと頼むと、住民たちはそれに非常に前向きに対応したというわけです。
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■あなたの目的を話してはいけない


これは「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と言われる説得術(セールス術)なのですが、これをうまく使っている人は自然と協力者を増やして仕事もうまくいくようです。
たとえば、業務工数的に非常に大きな業務を別の部門の人に頼もうとするときに、

 「1人月位かかりそうですけど、やってください」

なんて言っても大概の人は今年の年間目標を作っているので、「そんな追加業務は受けられないよ」と言われてしまいます。

これを、

 「ちょっと○○さんの知見を貸して欲しいので1回だけMTGに出てください」

から始めれば、「まあ1時間位のことだし」と参加してくれます。

 それから半月後に「進捗レビューをするので…」、
 さらに1か月後に「定例会にしたのですが、○○さんの部門にも関わりのあることなので…」、
 さらに「ちょっとこの件に対して宿題があるのでお願いします」。

ここまで引っ張ってやればもう断りきれなくなってます。

よくいいますよね。

 千里の道も一歩から

「一歩づつまえに進みなさい」ではなくて、「一歩目を出させてしまえば、後戻りはしにくくなる」という意味です(嘘ですよ)。
ただし、途中の早い段階でこちらの意図(ゴール)に気づかせてしまうと失敗します。

大事なのは

 小さなお願いから既成事実をつくり、相手が自分の意志で受け入れたと思わせる

ことです。「}小さな}お願い」と「}自分の意志}で」というのが超重要。

■自分にも応用してみる


同じことは、自分がやりたいと思っている習慣にも応用可能です。

 「ムキムキのマッチョマン(死語?)になるぞ」

ではなく、

 「今日だけ、○○駅のエスカレーターではなくて階段を使おう」

とすることですね。

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