巨人たちのお言葉シリーズをお送りします。
本日の巨人 : デール・カーネギー
本日のお言葉: 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
お言葉の出典: 『人を動かす』
誰かの提案を聞いていると、矛盾しているところや、「それじゃあできんだろう」というところがいくつも見つかります。
心理的に相手より上に立ちたいと思ったら、それを指摘するのは有効な手段だと思っています。
ただ、もしそれがその提案の根本的問題、すなわち、その提案が目指す目標を毀損するものではないときには、それは黙っていたほうがいいかもしれません。
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●誤りを指摘しない
セオドア・ルーズベェルトが大統領だったとき、自分の考えることが、百のうち七十五まで正しければ、自分としては、それが望みうる最高だと、人に打ちあけた。
二十世紀の偉人がこのとおりだとすれば、われわれはいったい、どうなのだろう。
自分の考えることが五十五バーセントまで正しい人は、ウォール街に出かけて、一日に百万ドルもうけることができる。
五十五パーセントに正しい自信すらない人間に、他人のまちがいを指摘する資格が、はたしてあるだろうか。
目つき、手振り、身ぶりなどでも、相手のまちがいを指摘することができるが、これは、あからさまに相手を罵倒するのとなんら変りない。
そもそも、相手のまちがいを、なんのために指摘するのだ。
相手の同意を得るために?
とんでもない!
相手は、自分の知能、判断、誇り、自尊心に平手打ちをくらわされているのだ。当然、打ちかえしてくる。考えを変えようなどと思うわけがない。
どれだけプラトンやカントの論理を説いて聞かせても相手の意見は変らない―傷つけられたのは、論理ではなく、感情なのだから。
「では、君に、そのわけを説明しましよう――」 。
こういう前置きは、禁物だ。これは、
「わたしは君より頭が良い。よくいい聞かせて君の考えを変えてやろう」
といっているにひとしい。
まさに挑戦である。相手に反抗心を起させ、戦闘準備をさせるようなものだ。
他人の考えを変えさせることは、もっともめぐまれた条件のもとでさえ、たいへんな仕事だ。何をこのんで条件を悪化させるのだ。みずから手足をしばるようなものではないか。
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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自分と相手の立場の相対関係や受け取る人によっても程度は異なりますが、誤りの指摘は、その誤りが本質的なものでない限り、大抵の人は「ムッ」とします。
本書にあるように、論理ではなく感情が「受け入れがたい」と感じてしまう場合が少なくありません。
一旦感情がこじれてしまえば、修復が大変なのは御存知の通り。
本書では、もしどうしても指摘しなければいけないとしたら、こんな風にいいなさい、と勧めていきます。
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相手がまちがっていると思りたときには―思うばかりでなく、事実、それが明瞭なまちがいだったときにも、こんなぐあいに切り出すのがいいと思うがどうだろう
「実は、そんなふうには考えていなかったのですが――おそらくわたしのまちがいでしよう。わたしはよくまちがいます。まちがっていましたら改めたいと思いますので、ひとっ事実をよく考えてみましよう」
この「おそらくわたしのまちがいでしょう。わたしはよくまちがいます。ひとっ事実をよく考えてみましよう」という文句には、不思議なほどの効きめがある。
これに反対する人間は、どこの世界にも、まずいないはずだ。
:
:(中略)
:
「おそらくわたしのまちがいでしよう」といってめんどうの起きる心配は絶対にない。
むしろ、それで議論がおさまり、相手も、こちらにまけず寛大で公正な態度をとりたいと思うようになり、自分もまちがっているかも知れないと反省する。
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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これと同じことが『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』にも書いてあります。
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返報性のルールは、二つのやり方でお互いの譲歩を引き出します。
その一つははっきりしています。
すでに行われた相手の譲歩に対して、同じような譲歩をするように受け手に圧力をかけることです。
もう一つは、それほど明白なものではありませんが、とても重要なものです。
つまり、受け手がお返しをしなければならない義務を負うために、人が勝手に最初の譲歩を行って、それによって相手とのやり取りから利益を得ることができるのです。
結局のところ、譲歩には譲歩でお返しをするという社会的義務がなかったとしたら、最初に自分から犠牲を払う人などいるでしょうか。そんなことをしたら、何の見返りも期待できないまま何かを手放すという危険を冒すことになってしまいます。
しかし、このルールが働いている限り、お返しとして自ら犠牲を払う責務が生じる相手に対して、こちらから安心して最初に犠牲を払うことができるのです。
ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』
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北風と太陽の寓話ではありませんが、相手を圧迫するより、譲歩して見せて相手が応じてくれるように促したほうが得策、ということですかね。
本章の結論としては以下のように書かれています。
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この章に述ペた事がらは、決して目あたらしいものではない。
千九百年前にキリストは、「すみやかに汝の敵と和解せよ」と教えている。
紀元前二千二百年のむかし、エジプト王アクトイが彼の王子を、「人を納得させるには、外交的であれ」とさとしている。
つまり、相手がだれであろうと、口論をしてはいけない。相手のまちがいを指摘して怒らすようなことはせず、いささか外交的手法を用いよということだ。
人を説得する原則2:相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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「誤りをしてきしない」わけには行かないときには、相手に}最大限の敬意を払った言い方}をするべし、と。
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●関連 Web
『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド
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●関連 Web
悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ
人を動かす-Wikipedia
人ひとを動うごかす―デール・参考カーネギーによる人間関係の古典―:日本語文学ガイド
転職を繰り返したD.カーネギー――世界最大の自己啓発本「人を動かす」を作った男
説得コミュニケーションの原則―Diamond Online
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