多くの仕事の中で、自分の能力をフルに使わないといけない仕事は、自分の持っている専門知識を使って「ものごと」を分析して、その分析結果に基づいて次の行動につなげていくという作業なのではないでしょうか。


 「××について検討しなさい」
 「○○について調査しなさい」
 「○○の課題はどのように対応しようと考えるか?」

こんな課題が与えられた時に、上司をうならせる分析手法があります。
私はこれを

 ものの見方の定番

と呼んでます。

このシリーズ(最近多いなぁ)はこれらを一気に紹介します。

本日はその第 2 回目。カテゴリ分けをする をご紹介します。




■カテゴリ


「カテゴリ」とは日本語で言うと、「分類」ですね。

たとえば生物は、××属××科みたいに分類されることはご存知でしょう。たとえば人間は

 新口動物上門、脊索動物門、脊椎動物亜門、四肢動物上綱、哺乳綱、真獣下綱、真主齧上目、真主獣大目、霊長目、直鼻猿亜目、狭鼻下目、ヒト上科、ヒト科、ヒト亜科、ヒト族、ヒト亜族、ヒト属、ヒト

に分類されますね(長い…。Wikipediaより)。

こうした、対象はどのようなものに分類されるのかを考えることで、

 ・より高次のものの見方ができないか
 ・同じ分類にある別のものの事例が適用できないか

を考えることができるようになります。

例えば、「リンゴの販売方法」を考えるときに、他社のリンゴの販売の事例だけではなく、「果物」の販売方法の事例を考えることができれば、「みかん」の販売方法を応用できないかという考え方にも到達できます。
さらに、「植物」「食べ物」といった分類に展開すれば、数多くの事例を考えることができます。

■多次元構造で分類する


ここで、注意するべきは、分類は1次元ではない、ということです。上位の概念(カテゴリ)は複数個あります。

先ほどの人間は一直線に分類が出来上がっていますが、べつにその分類ではなく、

 「男と女」
 「キリスト教徒と仏教徒とイスラム教徒」
 「白人と有色人種」

でもなんでもいいわけです。

こうした多面的な分類方法を提示することによって、さまざまな可能性を考える事ができるようになります。

こういう多面的な分類方法というのは、どのようなカテゴリで分析・検討するのかによって結論や論理展開が変わってきます。
ということは、自分の論理をカテゴリによって展開しようとしたら、その選択したカテゴリが適切であることを保証する「なにか」が論点として必要だということです。

■認識論的カテゴライズ


もう一つ「カテゴリ」で重要なのが「量、質、関係、様相

哲学の世界ではカントが『認識論的カテゴリ論』が有名だそうです。
カントは人間が対象をきちんと認識するためのカテゴリとして、

 量、質、関係、様相

の4つの項目をあげているそうです。これはビジネスにおいてもわかりやすいので、私がカテゴリとして使うときには、わりとこの4項目を意識して使うようにしてます。

これは単純に言えば、これらは「ものごと」を理解するための「ものさし」に当たるものです。

ですので、この「哲学の世界におけるカテゴリ」は上記のように「人間の分類」といった汎用的なものではなく、あくまでも「認識するための分類表」である点は注意が必要です。

◆量


 「量」とは「多い/少ない、大きい/小さい」といったいわゆる、対象となるものごとが「どの位」なのかをはかるものです。
 ビジネスに携わるものとしては、この「量」は数字で表さないと、他の人と共通の認識を持つことはできませんので注意が必要です。

 カントは、量を単一性、多数性、全体性という性質で分類をしました。

◆質


 「質」はよく言われることなので、私がコメントすることはありませんが、「仕事の質」といったときに、それぞれの人がもつ認識はあるでしょうけど、同じく論理的に表す必要がある指標ですね。
 カントは、質を実在性、否定性、制限性という性質で捉えるとしているそうです。

◆関係


 これもコメントするまでもありませんが、同じようなものを並べた時に、それがどのような関係にあるのかを表す指標ですね。
 カントの言う関係には、実態と属性、原因と結果、相互作用で捉えることで認識がしているとのことです。

◆様相


 これはわかりにくいかもしれませんが、カントの説明によると可能性と不可能性、現存性と非存性、必然性と偶然性で捉えるとしています。
 単に、様相という単語から捉えるとすると、対象そのものの外観や形状、色などがありそうですが、その時に、ある色である場合と別の色である場合の2つの相反的な様相を捉えないと正しく認識ができないということでした(受け売りです)。

■測定可能であること


本記事は哲学を論ずるつもりはありませんので、これらそれぞれの意味については、自分に都合がいいように定義して使えばいいですが、ビジネスで使う場合には

 測定可能であること

を大前提に考えないといけません。

つまり、「何が」「どのように」「どのくらい」が言えないとそれぞれについて、納得感のある説明ができないということです。
長くなってしまうので、今回の記事はこの程度のご紹介にとどめておきます。

また機会があれば事例をご紹介したいと思いますが、要するには「自分が考える"質"とは××で、これはこのくらいです」と言えればいいので、(時と場合に応じて)勝手に定義して使ってますので、一定の解釈を私が持っているわけではありません。

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