以前のサラヒン~サラリーマンの仕事のヒントの記事で、

 「なぜなら」を口癖にする

ということを書きました。

この逆に、「自分の売りたいものの長所を相手にあげてもらう」(こちらはシゴトコンパス~サラリーマンの仕事の羅針盤の記事)という方法もあります。

 長所を挙げてもらうと勝手に説得されてくれる

「理由を上げる」方法の、ちょっと応用編で、「理由を無理に考えさせる」という方法もあります。つまり、2つの選択肢があるとして、自分の望むものを相手に選んでもらうために、「それ(自分が望まない選択肢)を選びたくない」と思わせるために、相手に「それを考えるのを苦痛にしてしまう」方法です。


これは『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣』という本に載っていて、試しにある議論の場で使ってみたら意外と簡単に議論を誘導できたので、それ以来愛用している方法があります。

■2択の問題で選択を誘導する



★P165〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

仮に、あなたが新しい高級車を買おうとしていて、BMW とペンツにねらいを絞ったとします。

雑誌を開くと、次のようなBMW の広告が載っていました。「BMW かべンツかつBMW を選ぶ理由はたくさんあります。あなたは十個挙げられますか」。

ミヒャエラウェンケらの行った実験では、ビジネス専攻の学生のうち、最初のグループには、まさにこれと同じものを含め何種類かの広告を見てもらいました。さらに、二つ目のグループには、

 「BMW かべンツか? BMW を選ぶわけはたくさんあります。あなたは一つ挙げられますか?(強調は原著者による)」

というほんの少し違う広告を見てもらいました。

そのあとで、学生に、いつかどちらかの車を買いたいと思うかなど、BMW とべンツについて意見を求めました。

結果は明白でした。BMW を選ぶ理由を十個挙げよと消費者に求めた広告は、一つだけ挙げよというものと比べて、BMWに低い評価を、べンツに高い評価をもたらしたのです。

このような逆効果が生まれた原因は何なのでしようか。

研究者の説明によると、実験参加者たちは、BMW を支持する理由を探すのがどれぐらい簡単かという点に基づいて、その評価を行いました。理由を一つ見つけるのは割に簡単でしたが、十個の理由となると厄介でした。

そこで、考え付いた理由の数を判断基準にする替わりに、理由を考えるのが易しいか難しいかを判断基準にしてしまったのです。

心理学では、この何かを経験することの易しさや難しさを、経験の「フルーエンシー」と呼んでいますが、この考え方についてはもう少しあとでまた触れます。

想像しやすさが成合を分けるこの実験の結果からは、顧客に自分の見方を支持してくれる理由を挙げてもらう前に、相手にとつてそれがどのぐらい簡単かをよく考える必要があることが分かります。難しそうな場合には、2~3点挙げてもらうだけにしましよう。

また、この結果を逆手に取った方怯も考えられます。

つまり、顧客に競合他社の商品やサービスを好む理由をたくさん考えさせることで、こちらのほうが優位に立てるかもしれないわけです。論理的根拠を数多く挙げるのが難しいほど、相対的にこちらの品物や、サービス、提案のほうがよく見えるはずです。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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つまり、単純に「自分が選んでほしくない選択肢のいいところを考えさせる」と長所を挙げてもらうと勝手に説得されてくれるになってしまうのですが、それを「他には?」とたくさん出させることで、相手に「その選択肢についてもう考えたくない」と思わせることで、その選択肢を相手の頭のなかから追い出してしまうという、結構強引なやり方。

■10個上げてください


まあ、難しいことはちょっと横に置くと

 「この選択肢の長所を10個上げてください」

とやると、5~6くらいまでは簡単に上がりますが、それ以上は多くの場合は難しいです。
ためしに、あなたの好きなことや人についてやってみるとわかります。

それについて愛着があれば別ですが、大して愛着もないことであれば、

 選択肢1:いくつか長所を考えてみてください
 選択肢2:10個長所をあげてください。

とやられたあとに、「どちらがいいと思いますが?」とやるとたいていは選択肢1を選びます。

お試しあれ。



■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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●関連 Web
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 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

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