一生懸命」という言葉は、土地が財産だった時代に自分の所領を命がけで守る「一所懸命」から来ているそうです。

■天下の三英傑


「三英傑」といえば、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ですね。
どれも中部圏の出身なのですが、天下を取ったのは、安土、大阪、江戸とぜんぜん違う場所ですね。

家康が江戸に行ったのは、やむを得ず的なところはあったのでしょうが、その他の二人は、自ら望んで本拠地を離れてます。

それだけが、この三人が天下を取った理由ではないにしろ、ひとつの考え方を示していると思います。

つまり、天下に号令するときに、かつて天下取りの出発点だったところではなく、それにふさわしい場所を選び、そこに拠点を作りそこから号令をかけるようにしたわけです。自分の慣れ親しんだ場所に固執しないという意味で、

 「一所懸命」では天下は取れなかった

のではないかと。

■仕事の変化や移動


多分、この4月で、部署を移動したり、仕事内容が変わったりした人も多いのではないかと思います。
今年は変わらなかった人も、いままで専門技術を磨いてきたことと全く関係ない仕事を指示されたこともあると思います。転勤だってあります。

そんな時に、「今までの仕事が良かったなぁ…」とか「今までの部署に居たかったのに…」と思っても、会社からの目入れであれば「NO」はありません。

サラリーマンにとって「一所懸命」はありえないんですよ。
※多分、サラリーマンだけでなくほとんどすべてのビジネスマンに当てはまるでしょうね。
※「××一筋○十年」なんて人はごく少数。


■変化すれば、必要なスキルも変わる


仕事や環境が変化すれば、当然そこに必要なスキルも変わります。

そうすると今まで使ってきたスキルではなく、新しいスキルを手に入れないといけない。
そのために勉強・学習が必要になるわけです。これが、かつていた部署やかつてしていた仕事がながければ長いほど、面倒くさいんですね。

理由は簡単で、新しいことを「学ぶ」というスキルが低下しているから。

しかし、ドラッカーを始め多くの人達が言うように、「学ぶ」ということは、進歩のために絶対に必要なスキルです。
このスキルが低下していることが、「現状維持を望む」心理になって現れていると考えたほうがいいです。

■成長は現状をかえること


基本的に、「学ぶ」というスキルはほとんどの動物には備わっているスキルです。それをどのくらい活用するかによって進歩の速度が違うだけですね。ようは全ての人が進歩している。みんなが前に歩いているのに、自分だけ立ち止まってしまったら、相対的には後退しているのと同じです。

まあ、凡サラリーマンが、三英傑みたいに天下を取ることはありえませんが、それでも、

 一所懸命にやると取り残される

というふうに考えるようにしてます。

■新所懸命


私のモットーのひとつに「新所懸命でありたい」と思ってます。

 新しい所に行くのに懸命になる

と。

ということで、今年度から私は別の部署でぜんぜん違う業務に手を上げて移動しました。

あなたは、「××をやりたい」と上司が言った時に、「自分、やらせてください」って言いますか?

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