■二者択一法


説得法のひとつに二者択一法というのがあります。

簡単に言ってしまえば、結論を2つに分けて、「どちらを選ぶか」を迫る方法です。
これはすごく協力な方法で、相手の選択肢の幅を狭めて、自分の思い通りの結論に持っていくことができます。

相手にこの方法を使われると、なかなかそこから抜け出すのは難しいです。

例えば、私は部下によくこの方法を使います。

 「結局、オレの指示したことをやるの? やらないの?」
 「この情報は、必要だと思うの? 思わないの?」

こんなふう。

ただここまで迫るために、前置きは必要。つまり、こちらの思惑が断りにくいように、2者のうち、いずれが正解ということを先に行っておく必要があります。

たとえば、

 我社の社是は「お客様のために」だよね。
 で、君はお客様のために、この仕事をやるの? やらないの?

という言い方に持っていけば、表面上は二者択一ですが、事実上は選択肢はひとつしかない。

この方法は、この本に書いてありました。


ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術


ちょっとだけ引用すると

★――――――――――――――――――――――――――
◇規範の力
規範の力規範とは、決定に正当性を与える慣行や方針、判断基準をいう。過去の発言や約東、保証もこれにあたる。交渉で相手が同意した慣行もそうだ。企業の方針は規範だ。企業方針とは要するに「これがわたしたちのルールです」と言っているものだからだ。
 :
相手の規範を盾にすることは、気られざる優れた交渉ツールの一つだ。これがとくに有効なのは、非協力的な交渉人が相手のときだ。このツールを知る人は少ないし、使っている人となるとさらに少ない。そしてこれがなぜさまざまな場面で有効なのか、その心理的なしくみを理解している人はほとんどいない。ここでいう規範とは、「客観的」な基準や、あなたが公平だと考える基準のことではない。規範とは、相手が公平だと考える基準だ。
 :
矛盾した行動を撮りたくないという欲求は人間心理の基本原理だ。(つまり過去の言動や約束)に従うか、矛盾を認めるかの選択を迫られると、たいていの人は自分の規範に従う方を選ぶのだ。もちろん、どんな状況でも必ず成功するツールなどない。だがこうしたツールを使うことで、ずっと多くのものを手に人れることができる。相手は規範をそれほど破らなくなるし、あなたは自分のほしいものをしよっちゅう手に人れられるようになる。
――――――――――――――――――――――――――★


つまり、相手の規範に合わせて、最初にその判断基準を示しておき、その規範に則った行動とそうでない行動の二者択一を迫れば、相手は、自分の意図した結論を言わざるを得ない。その結果相手の言質を得てしまえば、次からは、「あの時、こういったじゃない。なんでやれてないの?」と相手を追い込むことができるわけです。

例の「ワタミ社長」の発言も、これに近いものがありますね。

だいたい想像がつくと思いますが、これは非常に強力な交渉術です。
しかし、そこから逃れられないわけでもありません。


■二者択一から逃れる方法



 「会社を愛せない奴は、会社を辞めろ」

たいていの場合の二者択一では、かなり極端な意見が選択肢として小される。しかも、どちらか一方は、相手にとって、明らかに都合のよいものとなっている場合が多い。それを受け人れざるを得ないことも、上に書いたように相手はちやんと知っていて使ってます。

でも、ちょっとだけ頭を働かせると、とるべき道は、本当に2つしかないわけではないと気が付きます。大概の場合は結論を言わされてしまってからですが…。

考えてみれば、「会社を愛すること」と、「会社をやめる」という2つしか、選択肢がないのか。もっと違う可能性だってあるはず。

「契約をとってくるのか、それとも辞表を出すのか」という選択を求められた場合には、「契約をとれるかどうかは、相手もいることですので、確約はできません。ただし、だれよりも一生懸命に努力することは、約東できます」と反論してもいい。要するに、相手にばかり都合のいい二者択一からは、さっさと逃れてしまうようにすればいいわけです。


■中間を考える


「白なのか、黒なのか」と聞かれたら、「灰色」という選択肢があることを示せばいい。
「すべてか無か」と聞かれたら、「 10 回中 4 回は」と反論すればいい。
二者択一の罠に引っかからないようにして、第 3 の選択肢を見つけることが必須条件。

多くの場合2つの選択肢を見せられると、そこに思考が縛られてしまいます。そして、思考が縛られたままでは、絶対に相手の言いなりにされてしまいます。そこに注意して、それ以外にも選ぶべき道があることをきちんと相手に伝えるようにしないと反論になりません。

この時、いくつかのパターンが有ることを覚えておくといいです。

最初のパターンが上に書いた「白か黒か」に対して「灰色」というもの。
要は、極論ではなく折衷。

第2のパターンは、「別の角度」というもの。色の例で言えば「白か黒か」と言われたら「赤」と答えるようなもの。
たとえば、先に上げた私の言い方「オレの指示に従うのか否か」に対して、「指示の内容自体ではなく、現在の業務の配分について相談する」ことです。つまり、支持されたことをやるためには、現在の業務を止めなければならない、その選択肢について、どのような方策があるのかをまず話をすることです。

第3のパターンは、いわゆる「第3の案」です。
これを出すためには、まず相手に胸襟を開いてもらい、なぜその業務をやって欲しいのか、どういう背景があり、私(その業務を指示している人)や自分にどのような利益を期待しているのかを話していきます。
その上で、本来得たい利益が得られる方法を探していきます。
これは書きだすと、「第3の案」みたいに600ページもかける話なので(私がかけるわけではありませんが)、この本を読んで勉強してみてください。

第4のパターンは、ごまかしてしまうこと。
実は頭の良い人(回転の早い人)は、これがすごくうまい。
私はドン臭いほうなので、いつも感心させられるのですが、上手な人は、場の雰囲気を簡単に変えてしまえる。
実際、どういうふうに考えたらそんなことができるのかわかりませんが、以前新聞記事でこんなことを読んだ記憶があります。

 国防長官:ロシアの核兵器保有量は確実に減っている
 記者  :現在ロシアは核兵器をどのくらい持っているのか?
 国防長官:それを答えてしまうとCIAや皆さんの仕事がなくなってしまいますからね。失業したくはないでしょう?

いつだったか、どんな時だったかも思い出せませんが、「世の中には、頭がいい人が多いんだなぁ」と感心したことだけは覚えてます。

最後のパターンが、私が勝手に「根本否定」と呼んでいる方法です。
これはちょっと特殊なのかもしれませんが、「指示を受諾するかしなか」ではなく、「指示自体の存在意義をなくしてしまうこと」。
これは、指示をした上司よりもより具体的な情報をモテ散る部下だからこそできる方策で、「その指示は、×××の理由で意味をなしません」ということを論理的に追い詰めていくことです。
ただし、これは本当に最終手段です。なぜかというと、上司の考え自体を否定する事になる可能性が結構高いので、上司の心証を悪くしかねません。

私も結構サラリーマン生活が長いのですが(というかサラリーマンしかしてませんが)、この方法を使ったのは2回だけ(記憶にある分だけ)。
ちょっと具体的に言うと色々まずいのですが、

■粘り強さとプレッシャーに負けない精神力


いずれの方法も、「いますぐどちらかを選べ」という相手に対して、「ちょっと待ってください…」と言わないといけないので、

 ・粘り強く相手の真意を引き出す
 ・相手のプレッシャーに負けない

だけの精神力が必要です。
もし、それがないとしたら、とっとと相手のゆうことを聞いてしまったほうが楽かもしれません。

■参考図書


◇アマゾン

ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術



第3の案 成功者の選択

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第3の案

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