本日は問題解決の手法の第2回をお送りします。

■可視化とは


よく製造現場で使われる言葉に「見える化」という言葉があります。デジタル大辞泉によると

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http://kotobank.jp/word/%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B%E5%8C%96
1 「可視化1」に同じ。「大気の流れを―する」
2 (特に企業活動で)業務の流れを映像・グラフ・図表・数値化によってだれにも分かるように表すこと。問題の共有・改善に役立つとされる。可視化。「作業課程を―する」

出典:小学館
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同じくWikipediaでは

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見える化(みえるか)とは、広義には可視化と同義だが、狭義には可視化されづらい作業の可視化を指す経営上の手法として、一部の人[誰?]が使っている言葉である。学術的な用語として確立した言葉ではない。
この語は、もともと、企業活動の漠然とした部分を数値などの客観的に判断できる指標で把握するための可視化に対して用いられた。測れる化とも言う[1]。ただし、今日では「可視化」全般に対して使われる例もある。

ビジネスにおける意味
作業についての情報を組織内で共有させることにより、現場の問題などの早期発見・効率化・改善に役立てることを目的とする。業種などにより適用方法は異なるが、一般的には問題・課題の認識に利用される。図・表・グラフにして可視化する場合もあれば、音・光による体感認識を用いた可視化もある。
問題の解決策を講じるために、問題点の把握を目的として見える化を行うことがある。
ITインフラの整備により、電子データ化された各種業務内容を有効活用するために、蓄積されたデータの抽出・加工によって見える化を行う場合がある。
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■参考文献


見える化については、色々奥が深いので、あまりごちゃごちゃ書くより本を読んでもらうのが一番。
私は以下の本をよく読み返しています。

●アマゾンで見る

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み
「見える化」仕事術





●楽天で見る
見える化

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■見えないものは改善しない


ここ10年ほど、私が好んで使うのがこのセリフ。もう一つ。

  測れないものは見える化しない

もよく使います。これはとにかくお念仏のように繰り返し自分にも言いますし、他人(特に部下)にも要求します。

  報告書ができてません

といった時に、あと「。」を加えるだけで完成するのか、1文字も書けてないのかは聞く人・話す人の状況によって違いますよね。
この対策は全く異なるわけです。

 あと「。」を加えるだけで完成
  →とっととWordを開いて報告書を描き上げる

でいいのですが、

 1文字も書けてない
  →報告書のテンプレートを探してきて、その書く内容を吟味する

というアクションを起こさないといけないわけです。

また、進捗状況を共有するにしても、3日目の昼ころに聞いた時には

 「9割くらいの出来です」

というのが、翌朝には出来上がっていたことはあまりありませんね。

■測定方法を考える


「可視化」「見える化」というと、すぐに

 「じゃぁWebをたちあげて、そこで共有しましょうよ

という人が結構多い。「いいことですね」とは反応するものの、内心は、

 「さっぱりわかってないな

とげんなりすることがしばしば…。「共有」って都合のいい言葉ですが、

 「それって、誰が何をして、どうなっている状態で、どういうメリットがあるの?

と聞くと大抵の人は答えられません。

 かっこいい言葉を適当に使っているだけ

そんなもの、やったって意味が無い。ただの自己満足。マスターベーション。

昔の話ですが、営業部の壁には、「営業成績表」というのが貼りだしてあって、横軸に担当者の名前、縦軸に新規獲得顧客数になっていて、途中に赤く横線が引いいてありました。

 「見える化」というのはこういうことです

つまり、営業部の担当者の成績を定義すると、「たくさんの新規顧客を開拓すること」であって、「たくさん」とは「1年間で30件である」。これが定義出来れば、測定出来ますよね。目標値がきまっており測定出来れば、どのくらいできているのか、できていないのかは一目瞭然。

前回お話した、「1日のタスクがこなしきれない」という問題を解決するために、「タイピング速度を上げる」という課題を上げたのであれば、「タイピング速度を30キー/分にする」という目標値を決めるわけです。それに対して、毎日タイピング速度を測定して、それをEXCELに記録していけば、見える化の完成です。

■まず「目標」ありき


前述の「共有」もそうなのですが、前回書きましたとおり「なりたい姿がはっきりしていない」のは、問題を捉えることができません。問題を捉えることができなければ、課題も考えようがないわけです。

「なりたい姿」をまずちゃんと言葉で説明できるようにすることです。言葉に出来ないものは達成出来ません。
次に、その言葉を表す「数字を決める」。

  言葉にしたものを目的
  数字にしたものを目標

といいます。

数字に出来れば、測定する方法はそれほど難しくありませんね。
測定した結果は当然数字なので、グラフにしたりパイチャートにしたりするのは簡単。

 これができない人が多いんだよな~

とは思います。

ただし、目標=目的ではありません。目的は、複数の目標が組み合わさってできているので、

  筋力を上げる = 毎日腕立て伏せを10回する

が成り立たないのと同じです。スクワットも、ダンベル運動もしないといけないですよね。でも今年は、「腕立て伏せ」に着目して活動すると決める。それが測定可能にするということであり、戦略目標になるわけ。

■メトリクス


最近良く使うようになった単語がこれ。

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http://e-words.jp/w/E383A1E38388E383AAE382AFE382B9.html
韻律学、作詞法という意味の英単語。また、測定基準、尺度、計量、距離などを意味する名詞“metric”の複数形。分野や対象を表す名詞に伴って、「~の尺度」「~の測定法」「~の計量法」などの意味を付加する接尾辞でもある。

ソフトウェア開発で、ソースコードの品質を数値化して定量的に評価することや、その際の評価手法や基準などの体系のことを「ソフトウェアメトリクス」(software metrics)という。コードの規模や複雑さ、凝集度(互いに関連する要素のコード内での散らばり具合)、結合度(クラスやパッケージの独立性の高さ)などを専用のツールを使って計測し、一定の目標を定めて改善していく。

セキュリティの分野で、指紋や眼球の虹彩、声紋などの身体的特徴によって本人確認を行う認証方式のことをバイオメトリクス認証(biometrics authentication)という。暗証番号やパスワードなどに比べ非常になりすましにくい方式で、高い安全性が求められる銀行のATMなどで実用化されている
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ソフトウエアメトリクスについては、

 モデリングの新潮流
 http://thinkit.co.jp/article/45/4

が詳しいので、こちらを参照してください。

業務におけるメトリクスについてはこちらを参照。

 MetricsManagementメトリクスマネジメント
 http://www.metrics.jp/abstract.html


要するに、ある一定の条件に対して、それを数値化することです。
これは、前述のように「目標」を決めて、それに対する達成度としての数値ではなく、

 現在、ある条件下におけるパフォーマンス

を測るものです。したがって目標値はあまり重要ではありません(ちょっと言葉に語弊があるかも)。

この考え方は、あなたのように「業務改善」「仕事術による仕事の品質向上」に強い意識のある方には是非理解しておいていただきたい考え方です。上記のメトリクスマネジメントのWebページには様々な業務上のメトリクスの例がのってますので、すごく参考になると思います。

■次回予告


次回は、「現状分析、課題形成」についてお送りします。

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