何かの議論をしていて、相手の論点の欠陥に気がついた時でも、その全てについて論破したり指摘するのは得策ではありません。

■逃げ道を塞がない



★P217〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

また、共存するための具体策として、相手の意見にいろいろと問題があると感じる場合も「指摘するのはひとつだけ」をルールにしましよう。というのも、「あそこもおかしい、ここもダメ」とすべての難点を指摘すると、相手は「逃げ道がなくなった」と感じるからです。

脳は、逃げ道がないと自己保存の本能が強く働き、理にかなった判断ができなくなります。

これは不祥事を起こした企業のトップなどがマスメディアから責め立でられ、さらにおかしなことを言い出す様子を見るとよくわかります。はたから見ると「過ちを認め、対策を示して素直にあやまればよいのに…」と感じますが、自己保存の本能が過剰反応すると、自分を守ろうとするために、どんどんおかしな方向に行ってしまうのです。
このような状態に人を追いやっても、誰も幸せにはなれません。誰かと意見を交わすときや相手を叱るときなどには、脳の本能のことをよく考え、必ず「逃げ道を残しておく」ことを意識したいものです。

林成之(著) 『脳は進化する
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孫子の兵法でも


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『故に衆を用うるの法は、高陵には向かうこと勿れ、背丘には迎うること勿れ、佯北には従うこと勿れ、囲師には闕を遺し、帰師には遏むること勿れ。此れ衆を用うるの法なり。』

「さらに大軍を動かす時には、高い丘に陣取っている敵に立ち向かってはならないし、丘を背にして攻めてくる敵を迎撃してはならない。敗走しているように見せかけている敵を追撃してはならないし、敵を包囲した場合には逃げ道を残しておいてやり、自国に引き上げようとしている敵を遮って留めようとしてはならない。これが大軍を運用する時の原理原則である。」

孫子の兵法・軍争篇
――――――――――――――――――――――――――★


と書かれてますね。

勝つためには相手を追い込みすぎてはいけないんですよ。

 窮鼠猫を噛む

の例えもありますよね。

■大きく勝って小さく負ける



だれかと何かのパイを取り合いになった時には、100%自分のものにしようとしないことです。

 60%とれればOK
 80%以上はとりすぎ

とおもって行動するのがバランスが良くなります。

明らかに自分のほうが優勢でも、「でも○○さんのご意見も確かにありそうに思いますので、それを□□に取り入れて進めさせていただけますか」とちょっとだけ空いてに譲ることです。

 完勝を目指してはいけません

譲ってくれたのは相手もわかってますので、それによって次から自分の見方になってくれる場面も出てきます。



■参考図書 『脳は進化する




「最近、もの忘れが増えてきたけど、脳が衰えたのだろうか?」
「年を取って、頭の働きが悪くなるのはいやだなぁ」……

まったく心配ありません!
脳の力は、年齢と関係なく高められるのです!

・「進化する脳」にスイッチを入れる法
・「脳の力を引き出す」体の使い方――空間認知能
・「忘れにくい記憶」をつくるコツ
・脳神経細胞の「老化を防ぐ」私の食事法
・本を「くり返し読む」と脳の機能が高まる!

などなど、この本で紹介する脳の使い方は、
ビジネス、勉強、スポーツ、対人関係……
あらゆるシーンで劇的な力を発揮します!





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脳は進化する
著者 :林成之

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●本書を引用した記事
 逃げ道を用意する
 ニュースを人に説明する
 高名の木登り

●このテーマの関連図書


図解脳に悪い7つの習慣

困難に打ち克つ「脳とこころ」の法則ゾーンと海馬があなたを強くする

世界的脳外科医・林成之先生の「文武両脳」の育て方(eduコミユニケーショ…

脳に悪い7つの習慣(幻冬舎新書は5-1)

素質と思考の「脳科学」で子どもは伸びる

の鍛え方(講談社現代新書)"src="https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61j0pPN1pOL._AC_UL320_SR198



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