認知心理学において、3という数字は人間が理解できる非常にいい数字だそうです。

長々とした資料や、数ページにも及ぶリスト。

作成者の努力と根性が現れたような資料ですね。

 でもボツです。

私は、人に何か説明するときには、これを最初に言うように意識してます。

 「ポイント(理由/課題/メリット)は3つあります

■3つのポイント


要点を少ない数で説明できるというのは、考えが整理されていることを表しています。
そして、それを聞く人にとっては、短時間で全体像を聞かせてもらえるという安心感があること。

最後に、ポイントとなることを「3つ」と最初に発言してしまうことで、自分に「整理する」というつよい制約が生じて、その制約に従った整理ができるようになることです。

つまり、「3つのポイント」に絞って資料を作ったり、話をまとめたりするのには「3つの長所」があるわけですね。

 1.話が整理されていることを相手に伝えることができる
 2.聞く側に安心感を与えられる
 3.3つにまとめようとすることで、冗長な部分を削ぎ落とすことができる

ほら、3つになったでしょ?

プレゼン資料などを作るときに、2ページ目に「エグゼクティブサマリ」をいれる事がありますが、ここも同じ要領で、その資料のすべてを3つの項目にまとめ、これを端的な言葉で表して書いておきます。こうしておけば、忙しい役員などに、数十ページにもおよぶ資料を1時間もかけて説明するのではなく、ちょっとすれ違った隙に、自分のやりたいことを話すことができます。


■軸を変える


ただ、3つにすればいいというわけでもなく、3つの理由が同じような軸で話をしていてはせっかくのテクニックも説得力が落ちてしまいます。

たとえば、「この業務改善活動には3つの利点があります」と言っておいて

 1.従業員満足度をあげること
 2.従業員のモチベーションを保つこと
 3.担当者の意識を変えること

という説明をするとすべてが「従業員」という同じ軸で話しているので、相手から「会社としてはどうなんだ?」というツッコミを受けます。

つまり3つのポイントを説明するためには、それぞれが異なる軸で評価されていないといけないんですね。

たとえば、以前の記事

 9つの目の交渉術
   ※これも3つのポイントから成り立ってますね。

で書いたように、「鳥の視点、魚の視点、蟻の視点」で軸にするとか、「従業員、経営者、顧客」「私、あなた、第三者」で軸にするなど、ポイントの軸を複数取り込むことによって、説得力のある説明が短時間でできるようになります。

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