「ブレーンストーミング」という方法は過去記事でも何度か紹介していますし、知らないビジネスパーソンのほうが少ないんじゃないかとおもいますが、以前セミナーで一緒に聴講していた人の言葉がちょっと印象的でした。


 「ブレーンストーミングの正しいやり方に驚きました」

たしかに、ブレーンストーミングって、「みんなが集まってアイディアを出し合う会」で、「人の意見を否定しない」くらいしか認識がない場合が少なくないのかもしれません。

■ブレーンストーミングのポイント


実際、セミナーなどで講師のガイドを受けながらブレーンストーミングをすると、すごくいろいろアイディアがでたりします。一方で、それを会社に帰ってやってみようとするとお通夜状態。これほど違うのは何なんだろう…、というのが冒頭の「驚きました」になっているのではないかと。もちろん、有料のセミナーに来る人なんて、「勉強してやろう」とか「払ったお金以上のことは学んで帰ろう」とか思っている積極的な人が少なくないので、そういう状態に誘導しやすいのかもしれませんが…

私自身も、ブレーンストーミングの主催者をやったことがありますが、順調に行った経験というのは、本当に数えるほどで、多くは自分ひとりで喋っていたり、無理やり何かを言わせようと圧力をかけていたりします。

「ブレーンストーミングは集まればいい」というわけではなく、「事前準備が大事だよ」というのが本書。


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●最大の効果を引き出すテクニック
 ブレーンストーミングを成功させるカギは、周到な準備と適切な心の状態である。マッキンゼー人がブレーンストーミング会議から最大の効果を引き出すために用いる技巧を、いくつか紹介する。

クリスティン・アズレソンは、マッキンゼー時代にブレーンストーミングの実験的な研修ブログラムに参加し、そのとき次の練習方法を学んだ。

これらは、みなさんのブレーンストーミング・セミナーがいいスタートを切るのに役立つはずだ。

ポスト・イットの使用。
 会議室にいる全員に粘着剤っきメモ帳を配る。参加者は、自分が考えついたアイデアを」つずっ別のメモに書いてリーダーに渡し、リーダーはそれらを読み上げる。これは、アイデアを出てきた順に議論して泥沼にはまり込むのを防ぎ、素早くたくさんのアイデアを出すのに、とてもよい方法である。

フリップチャートの使用。
 フリップチャートをいくつか、異なるカテゴリーまたは問題点ごとに用意して、会議室のあちこちに張る。
 チームメンバーは、会議室内をまわって適切なフリップチャートに自分のアイデアを書き込む。
 どれがだれのアイデアかわかるように、各チームメンバーが違う色のマーカーを使うようにしてもよい。

不平不満を吐き出させる。
 クリスティンは、大規模なブレーンストーミング会議を張り詰めた雰囲気のなかで行なうときに、とりわけ効果的な方法があると言う。

  「私たちは、クライアントの改革に向けた選択肢を話し合うため、関係者全員に大きな会議室に来てもらいました。そして、私たちが提出したブログラムの気に入らないところを、すべて率直に教えてくれるように頼みました。彼らが言いたいことを言ったあと、今度はプログラムのよかった点と、それを各事業部で実施する方法について話してくれるように頼みました。
  これは ED の <愛のムチ> がなかったらできなかったと思います。
  このテクニックは、二つの点で成功を収めました。
  これがなかったら考えつかなかったような、優れたアイデアがいくつかもたらされたことと、それまではまったく敵対的とまではいかなくても懐疑的だった経営陣が、マッキンゼーの解決策をしぶしぶ認めるのに役立ったことです」

 プレーンストーミング会議で文句を言う人や扇動する人に対処するコツを、もうひとつ紹介しよう。

 それは、リーダーまたは司会者がその人の後ろに立つようにし、さらにその肩にときどき触れることである。

 そうすれば、トラブルメーカーは自分が見られていることを意識する。もし小声でぶつぶつ言ったら、司会者は大きな声で言うように促すことができる。

 ちょうど、授業中に手紙を回している生徒に「クラスのみんなにも教えてあげなさい」と先生が言うように。

ブレーンストーミング会議を活気づけるのに、これらの練習方法を試してみるとよい。その成果には驚くはずだ。

イーサン・M. ラジエル(著) 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術
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■モノを準備する


まず、ここで気がつくのは、「モノ」の準備です。

本書では「ポストイット」「フリップチャート」が書かれていますが、私のように PC 依存症だと、参加者の発言を、マインドマップに書き出したくなります。
個人でブレーンストーミングするときには、マインドマップはとてもいいツールです。もちろん、複数人でやるときも良いツールなのだとは思いますが、これは「発言する」→「書き留める」→「適当な位置に配置する」という作業が入ります。すると、全然関係ないアイディアとか、配置のしようのないアイディアは配置できません。同様に「発言する」事自体に抵抗感があれば、発言をしないか当たり障りのないことしか発言しません。

ポストイットはそういうのを避けて、「先に書かせる」「書いた以上は説明が必要」などいろいろなメリットがあるんですよ。所詮人間のやることというのはアナログのほうがあっているのかもしれません。

■プロセスを考える


ブレーンストーミングが始まってすぐに、「じゃあ、アイディアよろしく!」と言っても、普段そんなことを考えてないひとがアイディアなんて出るはずもありません。それも「建設的に」などと制限をつけられればますます…

これまた過去記事でも書きましたが、人間は良いところより悪いところのほうが認識しやすくなってます。

本書にある「不平不満を言わせる」というのは良い手だな、と考えてます。

もちろん、もともと課題認識がない人に言わせてもトンチンカンな事をいうだけですが。

■事前に課題を考えさせる


最近、よく使うようになった手が、ブレーンストーミングをしないブレーンストーミング準備会議をするようにしています。

要は、課題についてそれぞれの人が持っている情報というのは偏りがあったり、少なかったりするので、それに関してなるべく多くの情報を与えて、それについて少しでも意識がいくように仕向けて、それが熟成した頃にホンモノのブレーンストーミングをするという方法です。

いきなり、「目的のゴールを言え!」と言われたりしても普段考えていないので、その場しのぎのことしか言えません。
一方で「事前に情報を与える」と言っても、「メールを出す」とか「課題図書を与える」などをやっても、殆どの人は何もしません。メールすら読まずに、「この会議ってなにが議題なんでしたっけ?」程度で出席してきます。

だったら最初から、それについて考える時間を無理やり作ってしまえば、何度もその情報に触れる事になり、それについて何らかの考えを持つようになるわけです。一番いいのはそれに関係するような仕事を実際してもらうことなのですが、これは業務分担などもあって難しいでしょうから、せめて1週間に 30 分位はその情報に触れる状態を作るのが、まあ、いろいろ仕事を抱えるサラリーマンにとってはせいぜいでしょう。

できたら、「会議」という形ではなく、「相談」という形で主催者が個人個人のところを回ってちょっと困りごとを話すとかしておくと、相手の心の準備もハードルが下がると思うのですが、これは主催者のハードルが上がるので、ちょっとムリ。

ということで、関係者が集まったときに、ちょっと進捗報告や相談という形を取って、何回もその問題や情報に触れる場を作ってから、本当にほしい「アイディア」を出してもらう、というがブレーンストーミング事前会議の目的。

ちょっとはブレーンストーミングが効果のあるものになるかもしれません。




■参考図書 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術





立ち読みできます立ち読み可
本書は、2つの貴重な意味を持っている。ひとつは、これまで謎に包まれていた世界的なコンサルティング会社マッキンゼーの仕事や組織、経営について、その一端を明らかにしていること。つまり、マッキンゼーそのものがテーマになった本である点だ。もうひとつは、彼らがビジネス経営問題をどのように解決するかを書いていること。つまり、世界中から集められた、きわめて優秀な「仕事師」たちの思考やテクニックを教えてくれている点だ。著者はマッキンゼーで3年間働いた元社員。そこでの経験と、同社を退職した人々へのインタビューから本書を書き起こしている。

本書の主要部分は、ビジネスの問題をどう考え、解決に向けてどんな方法をとり、そして解決策をどう売り込むかという、実際に彼らがコンサルティングを進める手順に沿って展開されている。いわゆる「マッキンゼー式」の真髄は、その最初の段階の「事実に基づき」「厳密に構造化され」「仮説主導である」という3つの柱で示されている。なかでも、問題を構造的に把握して3つの項目に集約させるテクニックや、まず仮説を立て、証明や反証を重ねながら正答に導くプロセスは、ビジネス思考の究極のモデルになるものだろう。

一方で、チームの編成、リサーチ、ブレーンストーミングの各方法や、「売り込みをしないで売り込む方法」など、すぐに応用できる実践的なテクニックも数多く紹介されている。多忙を極めるCEOに30秒でプレゼンする「エレベーター・テスト」や、毎日1つチャートを作るといったユニークなトレーニングもある。また、彼らのストレス対処法やキャリアアップの方法などもスケッチされていて、彼らの「生身」の側面をうかがい知ることができよう。

マッキンゼーの人々の仕事に対する思考やテクニックが、見事に描き出された1冊である。一読すれば、ビジネスにおける強靭な精神と、すぐれた知性の源泉に触れた気になるはずだ。





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マッキンゼー式 世界最強の仕事術
著者 :イーサン・M. ラジエル
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●本書を引用した記事
 いつ終わるのかを言う
 矛盾す複数の問題を一気に解決する「インクルージョン思考」
 嫌なことは、「もし気分がよかったら」で切り替える
 通勤どこでも仕事術:毎日5分だけ勉強確保できる確実な方法
 引用付き貼り付けをAutoHotKeyで実装する
 「組織は戦略に従う」が「技術は戦略をくつがえす」
 マッキンゼー式世界最強の仕事術:ブレーンストーミングで最大の効果を引き出すテクニック
 今日学んだことを3つ上げなさい
 情報が聞きたければ話してはいけない
 少しだけの成功を積み重ねる

●このテーマの関連図書


マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

マッキンゼー流図解の技術

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