多くの仕事の中で、自分の能力をフルに使わないといけない仕事は、自分の持っている専門知識を使って「ものごと」を分析して、その分析結果に基づいて次の行動につなげていくという作業なのではないでしょうか。


 「××について検討しなさい」
 「○○について調査しなさい」
 「○○の課題はどのように対応しようと考えるか?」

こんな課題が与えられた時に、上司をうならせる分析手法があります。
私はこれを

 ものの見方の定番

と呼んでます。

このシリーズ(最近多いなぁ)はこれらを一気に紹介します。

本日はその第 3 回目。主観と客観(主体と客体) をご紹介します。


本日は「主観と客観(主体と客体)」についてご紹介したいと思います。


■主観と客観(主体と客体)


まぁ、それぞれの意味については、特別な単語ではありませんので、ここで説明するまでもありませんね。

ただ、これは業務における報告などで、私も時々指摘する(される)ことがありますが、ここが入り交じっている場合が少なくありません。

ここで述べるのは、主観と客観(主体と客体)という一対の概念です。「主観」「客観」という別々のものではなく、この2つを含むものごとの見方という意味で捉えていただきたいです。
※説明がヘタなのでわかりにくでしょうが…。その点はご勘弁を。

ここで、「主体と客体」という言い方は、私が哲学を勉強した時に学んだ表現方法なので、あまり一般的ではないかもしれません。
簡単には、「するもの=主体」「されるもの=客体」と考えればいいかと思います。極端には、「ひと=主体」「もの=客体」と考えていただければいいかと。
※哲学的には、「認識/知覚するもの」「認識/知覚されるもの」という意味で使うみたいですが。

■「主体と客体」の概念


トラブルの報告などで、焦っているとさっぱりわからない報告をしてしまう場合があります。

 「一体何が起きているのか、起きた事実だけを時系列で報告しなさい」

ということをよく言われました。

この「事実」というのが、たとえば、人間関係であれば「誰が、誰に、何をした」ということを表しています。
これが、「主体と客体」を表していまして、一対の概念といったのは、こういうことです。

■客観化して分析する


たとえば、「製品が売れない理由」を分析する課題があったとして、「製品の色がよくない」というコメントをネット上で発見した時に

 「お客様の評判として製品の色が良くない」

と報告してしまったら、上司や役員からどう言われるかは火を見るより明らかですね。
ましてや、「せっかくいい製品なのに、良さを理解してもらえない」などとは……。

だいぶ説明を省略しますが、この「主観と客観(主体と客体)」の概念においては、その対象となる問題をいかに客観化するかにかかっています。

 ある出来事に対して自分(問題の主人公)がどのように感じたか

はまず別のところにおいておいて、

 誰が見ても共通の事実はなにか

を明確にする必要があります。

これが「客観化」なのですが、厳密に考えていくと「客観」という状態は存在しません。

「散歩していたら猫がいた」は客観的事実かというと、極論すれば客観的ではありません。
「猫」と認識したのは、自分という主体が、そこにいた「もの」が「猫である」と認識したにすぎません。別の人が見たら「子ライオン」だったのかもしれないわけです。猫に似た置物だったのかもしれません。
ためしに、その「もの」が「猫である」証拠を考えてみてください。

 全身が体毛で覆われ、四足歩行している
 目が大きく、黒目が縦長
 全体に体が曲線的
 「みゃー」と鳴く

これをそれぞれに当てはまる別の動物を探すのはそれほど苦労しません。

まぁ、これは極端な例でなのですが、客体は主体の成立根拠にすぎないということです。
過去記事で事実と真実で書いたように、事実でさえ人によって見え方が違うということを考慮しながら、極力客観化をするように務めないと、「なに感想文を書いているんだ?」ということになりかねません。

まずは、ものごとを整理するときに、「主体と客体の対」に分け、その間で起こったことを、「主観と客観」で層別することが、説得力のある分析のための手法のひとつです。

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