「×××を○○日までにお願い」

とお願いしたのに、できたものは全然期待とは別物。それも当日の夜になって出してきて…

なんていう経験は仕事をしていれば、当たり前のようにあります。

■考えていることは伝わらない


以前の記事コミュニケーションよりコンバージョンで書いたように、人間が考えていることは、他の人にはテレパシーでもない限り伝わりません。

★――――――――――――――――――――――――――
仕事の結果が出るまでには以下の様な変換プロセスを通るわけです。

  (発注者の頭のなかのイメージ)
     ↓
     ↓言語化
     ↓
  (発注者の言語能力)
     ↓
     ↓文章化・音声化
     ↓
  (受注者の言語能力)
     ↓
     ↓イメージ化
     ↓
  (受注者の頭のなかのイメージ)
     ↓
     ↓受注者の仕事能力
     ↓
  仕事の結果

ですよね。

コミュニケーションよりコンバージョン
――――――――――――――――――――――――――★


ここで言いたいのは、「考え」というのは多方面に渡るし、言語化するときに必要な要素も抜け落ちてしまうので、絶対に伝わることがないということです。
もちろん、精度を高めることはできます。その努力があっても100%にはなりえません。


■考えではなく、行動を聞く


じゃぁどうすればいいのかというと、

 目に見えることに集中すること

です。

その方法について、以下の本『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』にすごく参考になることが書いてありましたので、ご紹介します。

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●伝わるように伝える
自分が頭のなかで考えていることなど、ほかの誰にもわからない。

配偶者にも、子どもたちにも、当然ながら部下にもだ。

これはフランクと接するうちに学んだ重要な教訓だ。

仕事の指示は最初からはっきりと具体的に与えたつもりだったけれど、彼のやった仕事の結果はなぜか的外れだった。仕方がないのでもう一度説明するが、それでも指示した内容とはちがうものを仕上げてくる。

これにはさすがに私もイライラした。けれども、そこは持ち前の知性を働かせて考えてみた。いまのやり方でうまくいかないのなら、やり方を変えなければ。

こちらがいくらはっきりと具体的に指示を与えたつもりでも、明らかに彼には伝わっていなかった

そう気づいたとき、すべてが腹に落ちた。

こちらの言いたいことをフランクに無理やり理解させることはできない。彼の頭のなかに入っていって、理解の仕方を変えさせるわけにもいかない。しかし、フランクが私の言ったことをきちんと理解したかどうか、確かめることはできるはずだ。

どういうふうに理解したのか、彼に訊いて確認すればいい

そう考えて、私はアプローチの仕方を変えた。このやり方はいまでも使っているが、こんな具合だ。

 「このあいだ渡した指示書だけど、ちょっとわかりにくかったかな、と思って。まず何からやろうと思ってる?」。

これなら、相手が何を考えているかちゃんとわかる。この調子でいこう!

カレン・フェラン(著) 『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
――――――――――――――――――――――――――――★


最後の「相手が何を考えているか分かる」という点については、ちょっと同意しかねるのですが、

 なにをしようとしているのかはちゃんと分かる

のはたしか。

私も、本書の著者をマネて、

 じゃぁ次は何をする?

ときくように意識してます。

■その他にも、ヒントがいっぱい


本書『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』は、ちょっとフザケたタイトルですが、コンサルタントから見たかなりホンネに近いところの仕事のヒントが書かれてます。

ちょっとご紹介すると、

 ・「分析」に従わなかったから成功した
 ・データより「ふせん」のほうが役に立つ
 ・「正しい理論」はチャンスを逃す
 ・目標はこうして「障害」になる
 ・マッキンゼーコンサルタントの「大外れの」予言
 ・98%の社員が「自分は真ん中より上」と思っている
 ・「マネジメントモデル」なんていらない
 ・「コーチング」と「フィードバック」だけでは育たない
 ・こうして会社はコンサルにつぶされる
 ・コンサルタントがエン口ンをつぶした
 ・昇進すればクビになる
 ・何でも得意になろうとして「凡庸」になる
 ・「科学的管理法の父」のまちがい

などなど、結構気になるタイトルでしょ?

ときどき、このブログでも引用したり参考にしたりしてます。
よろしければどうぞ。



■参考図書 『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。




■前代未聞! 気鋭のコンサルが業界の内幕を暴露。
コンサルの過ちを懺悔した全米騒然の問題作!

本書の著者は、マサチューセッツ工科大学及び同大学院を卒業後、
大手会計事務所系コンサルティングファームの
デロイト・ハスキンズ&セルズや戦略系コンサルティングファームの
ジェミニ・コンサルティングで活躍。その後、ファイザーや
ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの大手企業で
マネージャーとしての経験を積んだ敏腕コンサルタント。

本書は、その著者が自ら「自分たちがコンサルタントとして
クライアントに勧めてきたことは、あれもこれも間違っていた」と
懺悔した前代未聞の書である。
「この30年、多くの企業に入り込み、『目標による管理』だの
『競争戦略』だのとお題目を唱えて回ったすべての
経営コンサルタントを代表してお詫びします」
と告白したのだ。

■大手ファームの仕事の「実態」とは?

著者は自らが経営コンサルタントとしてクライアントに勧めてきた
さまざまなメソッドについて、その経緯と理論を振り返りながら、
コンサルティングを受けた企業の顛末を詳細に語る。
「戦略計画」「最適化プロセス」「業績管理システム」など、
コンサルがどういう発想で改革を持ち込み、それが企業にどんな影響を
与えているかを具体的に理解できるのも面白いところだ。
現代の経営手法を根幹からひっくり返すような「告白」を満載した本書、
コンサル業界だけでなく、いまのビジネス潮流そのものに
一石を投じる一冊と言えるだろう。

目次

はじめに 御社をつぶしたのは私です
Introduction 大手ファームは無意味なことばかりさせている
第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない
第2章 「最適化プロセス」は机上の空論
第3章 「数値目標」が組織を振り回す
第4章 「業績管理システム」で士気はガタ落ち
第5章 「マネジメントモデル」なんていらない
第6章 「人材開発プログラム」には絶対に参加するな
第7章 「リーダーシップ開発」で食べている人たち
第8章 「ベストプラクティス」は“奇跡"のダイエット食品





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申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
著者 :カレン・フェラン

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●本書を引用した記事
 四現象マトリクスは四角で囲ってはいけない
 伝わった結果だけが問題2:どう伝わったかを判断する方法
 考えは伝えられない
 数値評価のワナ
 道具は目的を達成しない
 申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
 フレームワークに頼ってはいけない
 申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

●このテーマの関連図書


コンサルは会社の害毒である(角川新書)

いたいコンサルすごいコンサル究極の参謀を見抜く「10の質問」

コンサル一年目が学ぶこと

戦略評価の経営学―戦略の実行を支える業績評価と会計システム

この1冊ですべてわかるコンサルティングの基本

コンサルティングとは何か(PHPビジネス新書)



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