よく「同じものを見ていても、人によって見えているものは異なっている」と言われます。
自分では「完璧だ」と思った仕事も、上司に提出するとあれこれ突っ込まれて返事に窮することも少なくありません。
これは、仕事の成果物という同じものであるにもかかわらず、部下から見れば完璧、でも上司から見ると期待はずれになっているということですね。
過去記事で何度か書いてますが、合意形成にかぎらず、上司の見ているものと部下の見ているものは全く異なります。
たとえば、なにかのトラブルが発生したとき、部下は
・そのトラブルをどう解決するか
・どのように再発防止をするのか
というところに意識が行ってます。
しかし、その上司はそのトラブルが起きた根本的なプロセスに意識が行きます。たとえば、そのトラブルは部下同志の情報のやり取りが不十分である、みたいなところに思いが行きます。
そうすると、部下が「再発防止として、チェックリストを作りました」みたいに持ってきても、「それは解決策じゃない」と突っ返す事になります。
たしかにチェックリストというのは、同じ問題を起こさないための一つの手段です。しかし、部下同志で十分なコミュニケーションが取れていないという課題が問題だと思っている人に、「チェックリストを作りました」では無意味に見えちゃうわけです。
だからといって、上司もどうすれば「十分なコミュニケーションが取れている状態になる」のかはわからないので、部下に文句を言いながらも、「今回はそんなところでお茶を濁すか…」という判断をするわけですがね。
これが本書『タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ』の言うところの「三合目」と「七合目」の違い。
上司は部下よりも、ある業務に関しては長い業務経験を持っていることが多いのですが、今の部下のそれぞれの業務に対してはちゃんと理解できているわけではありません。最近は昇進速度が早くて、業務経験も人生経験も少ない上司も結構います。
でも、こういう上司からでも、その業務経験が長い部下が、その業務に関していろいろ突っ込まれるのは、やっぱり目線の違いです。
目線で最も違うのは、
・会社の財務に関する知識
・部門の業績に関する知識
です。
たとえば、どこの会社でも年度末になると会社業績の公開があるとおもいますが、大抵の上司はこの業績結果を作るのに何らかの形で関わってます。繰り返し、業績のレポートを読むので覚えてます。
逆に部下は、昨年度の会社の売り上げはどれだけだったのか、利益や利益率はなどという数字は、大抵の場合即答できません。ましてや「ここ数年の営業利益率の変化」なんて…。
そうすれば、自分たちの業務や、自分がやらかしてしまった失敗が、それらにどのように影響しているのかわかりようが無いですね。でも大抵の上司は、こういうところを気にしていたりします。
もう一つ違いがあるのは、プロセスの視点です。
なにかの結果を出すのは、一つひとつの行動ですが、行動単体では結果が出ません。
関係者の行動の時間的集合体が結果を出すのです。
一つの行動を、時間的に連続した行動の集合体として捉えられるかどうかが、プロセスの視点になります。
前述の「失敗」の事例でも、情報の伝達というプロセスに着眼する上司と、失敗という単発の事実に着眼しているかが意見がすれ違う理由なんですね。
プロセスの視点については、別途、記事
流れを見る3つの視点
に書きましたので、ここでは財務諸表について。
ぜひ、財務諸表を見るトレーニングをしましょう。
少なくとも財務諸表に関する本を5冊くらいたて続けに読んでみてください。
1ヶ月位を目標に。できたら、セミナーもひとつ受けてみてください。理解度があがります。
それと並行して、自分の会社の財務諸表を3年分くらい、じっくり見てください。
務めている会社が株式会社なら、詳細なコメント付きで入手できるはずです。
※特に重要なのはPL(損益計算書)。
※最近なら、日本会計基準と国際会計基準についても勉強しておくといいです。
その上で、社長や重役の発言とその財務諸表の関係について考えてみてください。
多分、何を言っているかがよく理解できると思いますよ。
※賛同するかどうかは別として…
あなたの上司は、その社長や重役の指示を受けて行動しています。
それが上司の行動原理、上司の見えている風景です。
上司の視線を理解するのに、上司を理解しようとしても届きません。上司の上司を理解しようとしないと上司のレベルには届きません。
●本書を引用した記事
上司の目線を理解するには財務諸表を見る
会して議せず、議して決せず、決して行わず、行ってその責を取らず
●このテーマの関連図書
自分では「完璧だ」と思った仕事も、上司に提出するとあれこれ突っ込まれて返事に窮することも少なくありません。
これは、仕事の成果物という同じものであるにもかかわらず、部下から見れば完璧、でも上司から見ると期待はずれになっているということですね。
★P〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
「合意形成」という言葉を耳にするようになってきました。
しかし、「合意とは何か」とい、つ本質的な議論はあまりなされてこなかったように思います。
「合意」とは意識を合わせることです。そうであるならば、その意識は情報で合わせるのがいい。
山登りにたとえてみましょう。三合目にいる人と七合目にいる人とでは、意見が食い違うことが多い。それは、2人の見ている景色が違うからです。
蔽の中でさまよう三合目にいる人と、これまで登ってきた道筋もわかり、地上の景色も見晴らせる七合目にいる人とではなかなか合意は難しいのです。
しかし三合目の人に、七合目と同じ情報を与えて目線を高くしてやると、同じ景色を見ることができます。
そして同じ景色を見ると、同じ意見になることが多くなります。会議では、それぞれの目線の高さが異なるから見えている景色が違うため、合意が得られにくいのです。
久恒啓一(著) 『タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ』
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過去記事で何度か書いてますが、合意形成にかぎらず、上司の見ているものと部下の見ているものは全く異なります。
たとえば、なにかのトラブルが発生したとき、部下は
・そのトラブルをどう解決するか
・どのように再発防止をするのか
というところに意識が行ってます。
しかし、その上司はそのトラブルが起きた根本的なプロセスに意識が行きます。たとえば、そのトラブルは部下同志の情報のやり取りが不十分である、みたいなところに思いが行きます。
そうすると、部下が「再発防止として、チェックリストを作りました」みたいに持ってきても、「それは解決策じゃない」と突っ返す事になります。
たしかにチェックリストというのは、同じ問題を起こさないための一つの手段です。しかし、部下同志で十分なコミュニケーションが取れていないという課題が問題だと思っている人に、「チェックリストを作りました」では無意味に見えちゃうわけです。
だからといって、上司もどうすれば「十分なコミュニケーションが取れている状態になる」のかはわからないので、部下に文句を言いながらも、「今回はそんなところでお茶を濁すか…」という判断をするわけですがね。
これが本書『タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ』の言うところの「三合目」と「七合目」の違い。
■上司の目線
上司は部下よりも、ある業務に関しては長い業務経験を持っていることが多いのですが、今の部下のそれぞれの業務に対してはちゃんと理解できているわけではありません。最近は昇進速度が早くて、業務経験も人生経験も少ない上司も結構います。
でも、こういう上司からでも、その業務経験が長い部下が、その業務に関していろいろ突っ込まれるのは、やっぱり目線の違いです。
目線で最も違うのは、
・会社の財務に関する知識
・部門の業績に関する知識
です。
たとえば、どこの会社でも年度末になると会社業績の公開があるとおもいますが、大抵の上司はこの業績結果を作るのに何らかの形で関わってます。繰り返し、業績のレポートを読むので覚えてます。
逆に部下は、昨年度の会社の売り上げはどれだけだったのか、利益や利益率はなどという数字は、大抵の場合即答できません。ましてや「ここ数年の営業利益率の変化」なんて…。
そうすれば、自分たちの業務や、自分がやらかしてしまった失敗が、それらにどのように影響しているのかわかりようが無いですね。でも大抵の上司は、こういうところを気にしていたりします。
もう一つ違いがあるのは、プロセスの視点です。
なにかの結果を出すのは、一つひとつの行動ですが、行動単体では結果が出ません。
関係者の行動の時間的集合体が結果を出すのです。
一つの行動を、時間的に連続した行動の集合体として捉えられるかどうかが、プロセスの視点になります。
前述の「失敗」の事例でも、情報の伝達というプロセスに着眼する上司と、失敗という単発の事実に着眼しているかが意見がすれ違う理由なんですね。
■上司見えている風景を見る
プロセスの視点については、別途、記事
流れを見る3つの視点
に書きましたので、ここでは財務諸表について。
ぜひ、財務諸表を見るトレーニングをしましょう。
少なくとも財務諸表に関する本を5冊くらいたて続けに読んでみてください。
1ヶ月位を目標に。できたら、セミナーもひとつ受けてみてください。理解度があがります。
それと並行して、自分の会社の財務諸表を3年分くらい、じっくり見てください。
務めている会社が株式会社なら、詳細なコメント付きで入手できるはずです。
※特に重要なのはPL(損益計算書)。
※最近なら、日本会計基準と国際会計基準についても勉強しておくといいです。
その上で、社長や重役の発言とその財務諸表の関係について考えてみてください。
多分、何を言っているかがよく理解できると思いますよ。
※賛同するかどうかは別として…
あなたの上司は、その社長や重役の指示を受けて行動しています。
それが上司の行動原理、上司の見えている風景です。
上司の視線を理解するのに、上司を理解しようとしても届きません。上司の上司を理解しようとしないと上司のレベルには届きません。
■参考図書 『タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ』
立ち読み可 | 上司と部下の「タテの会議」と、部門をまたぐ「ヨコの会議」。 ――その目的も会議術も異なる。 時間半減、生産性倍増のノウハウが満載! 上司と部下の「タテの会議」の目的は、理解と伝達。 部門をまたぐ「ヨコの会議」の目的は、企画・構想・創造。 「会して議せず、議して決せず、決して行わず、行ってその責めをとらず」といった悪い会議がはびこり、繰り返されています。こうした“悪い会議”の問題点をすべて解決していく強力な一冊です。 「タテの会議」では、上司と部下それぞれの視点から問題を解きほぐし、具体的なアドバイスをします。 一方、「ヨコの会議」では、部門をまたいだ会議の際に生じるトラブルや、上下関係では生まれない、「ヨコ」ならでは悩みを挙げます。部門間での仕事のあり方を取り上げることで、“組織横断的な仕事のあり方”を学んでいきます。 また、始まりつつある「ウェブ時代の会議術」についても触れています。 ファシリテーターから新入社員までの必読書。きっと役立つヒントが見つかります。 |
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タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ 著者 :久恒啓一 | 楽天では見つかりませんでした | タテの会議 ヨコの会議―時間半減、生産性倍増の実践ノウハウ 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
上司の目線を理解するには財務諸表を見る
会して議せず、議して決せず、決して行わず、行ってその責を取らず
●このテーマの関連図書
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