「人を巻き込んで活動する」技術というのは、管理職にとって必須、欠くべからざる技術です。

こういうのが長けた人というのは、昇進も早いです。
でも、「どうやったら人を巻き込めるようになりますか?」と上手な人に聞いてもマトモな答えが返ってきません。

理由は、上手な人は、自分が上手であることを意識していないからです。呼吸をするのと同じ感覚。


もし、自分自身を振り返って、「人を巻き込む」のがあまり得意ではないと感じたら、その基礎技術は何かを考えてみて、理論理屈から攻めてみるといいかもしれません。

■ポイントカードテクニック


私が勝手に「ポイントカードテクニック」と読んでいる方法があります。

名前の由来は『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』から。

★P181〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●一足早いスタートでロイヤルティを勝ち取る

コーヒーの無料券や、網引購人券、格安航空券、休暇旅行の優待券など、多くの企業は報奨制度を設けることで、顧客をつなぎとめようと努力しています。最近の研究の結果は、相手のロイヤルティ(忠誠心)を強化して、こちらが提供するものに興味をもたせる方法について、示唆を与えてくれます。
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その実験では、洗車場の顧客三百人にポイントカードが配られ、洗車サービスを利用するたびにスタンプを押してもらえる、と言われました。

ただしカードは二種類あり、一方のカードには、スタンプ八個で洗車が一回無料になると記されており、ス夕ンプは一つも押されていませんでした。もう片方のカードには、スタンプ十個で洗車が一回無料になると記されており、最初からスタンプが二個押してありました。

つまり、どちらのカードも、特典を受けるにはあと八回の洗車が必要だったわけですが、後者のほうがやや先に進んでいるように見えたのです。

その後、顧客が洗車に立ち寄るたびに、従業員がカードにスタンプを押して日付を書き込みました。

数カ月後、研究者たちが実験プログラムを終わらせてデータを調べたところ、仮説が証明されていました。

スタンプ八個のグループでは、無料洗車の特典に到連した顧客は 19 パーセントでしたが、おまけつきのスタートをしたスタンブ十個のグループでは、、34 バーセントに上りました。

そのうえ、おまけつきスタートのグループのほうが洗車の問隔が平均 19 日少なく、八回の洗車にかかった期間が短くなっていました。

スネスとドレーズによれば、顧客はプログラムをまだ始めていないと考えるよりも、始めたけれども途中だと考えるほうが、それを完了させようという気持ちが強くなります。

また、目標達成が近づくほど一層努力して成し遂げようとすることも、研究で示されています。これを裏づけるものとして、顧客が洗車に訪れる間隔が平均して半目ずつ狭まっていたことが、データから判明しています。

この話は、あらゆる報奨プログラムに当てはまります。また、たとえば人に手助けを求める場合は、「これからあなたに頼むことは、あなたがすでにある程度経験していることです」と指摘すると成功しやすくなります。

仮に、相手が過去に携わったのと同様のプロジェタトに関して手助けが必要なのであれば、

 「あなたはプロジェクトの成功にある程度近づいた状態からスタートできます」

と強調するとよいでしよう。

また、すでにプロジェクトがかなり進んでいるのであれば、「仕事はもう二割方片付いている」と力説すればよいのです。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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つまり、「何かを新しく始める」ことよりも「すでにやっていることを続ける」ほうがハードルが低くなります。それだけ人の行動にモチベーションを与えることができるわけです。


■今の仕事にちょっとだけ追加してくれればいい


もし、他の人に何かを頼むときには、「今日から新しく○○を始めてください」と頼むより、

 今の仕事のついでに○○をしてください

と頼んだほうが受け入れてもらいやすくなるわけです。

それによって、相手がその「ちょっとだけ」をやったら、また「ちょっとだけ」と少しづつ追加していくわけです。

立ち止まっている人に、「こっちまで歩いてきてください」というより、歩いている人に「やあ、ちょっと寄り道してって」といったほうがいい。

なので、何かを頼むときには、「新しいこと」ではなくて、「今までやっていたこと」をお願いすることで、少しづつ相手をこちら側に引き込んでいくと、関係者が増えていきます。



■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 魅力的な名前をつける
 やる気が出る11のヒント
 失敗は正確に報告する
 「なぜなら」を口癖にする
 面接で短所をアピールする
 選択肢を多くするとカスを選ぶ
 出張・旅行でおみやげを買ってくる
 心理戦で絶対負けない本
 心理戦で絶対負けない本―実践編
 人を動かす:人を説得する原則6:しゃべらせる

●このテーマの関連図書


影響力の武器戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果

影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器コミック版

シュガーマンのマーケティング30の法則お客がモノを買ってしまう心理的ト…

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則





■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 上司にもアポイントメントを取る
 お世辞も言わねばサラリーマンは務まらない
 魅力的な名前をつける
 人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい
 やる気が出る11のヒント
 文章のコツ6:同じ言葉を使う
 論理的資料作成術:2つの観点で書くと説得力がでる
 ミラーリング交渉術
 問題は過ちであると認める
 失敗は正確に報告する

●このテーマの関連図書


影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

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