どうも日本語というのは、母国語で話し慣れているので、あまり意識しなくてもそれなりの文章が話せたり、書けたりします。

ところがちゃんと勉強してみると、以外に知らないことが少なくありません。

ちょっとだけわかりやすい文章を書くためのコツのひとつ、「接続詞」について考えてみたいと思います。
当然ながら、文章というのは複数の文で成り立っており、少し細かく見ると、文と文がつながって出来上がっています。そこで文と文とをつなぐもの、それが「接続詞」です。
この接続詞を正しく使えると、論理的・知的な文章に見えます。

前回の記事では、「しかし」「ただし」という接続詞の持っている意味について事例を引用してみました。


では日本語にはどのような接続詞があるのかを『論理トレーニング101題』から拾って整理してみました。結構長くなってしまったので、2回に分けてお送りしています。

本日はその3回目。

■基本的な接続表現


前回の記事でご説明したように基本的な日本語の論理的な文章の接続表現には

 ・付加
 ・理由
 ・例示
 ・転換
 ・解説
 ・帰結
 ・補足

の7つのパターンがあります。

このうち適切なものを選択することによって論理的な文章接続が可能になります。


◆例示


★――――――――――――――――――――――――――
インフォームド・コンセントとは医師から患者に決定権が移ることだと考えるのはまちがっている。患者が決定するのは、治療の結果としての「生命の質」である。●●心臓病の患者が、無理をしないで薬でおさえて静かに暮らすか、手術をしてあとくされがないようにしたいか、患者に選択できるのは、自分の生命の質に関してであって、治療の因果関係を認識し、措置を決定するのは医師である。患者が目的を選んで、医師が手段を決定する。これがインフォームド・コンセントである。
――――――――――――――――――――――――――★


まず、主張の方向は、●●の前後では変わっていません。それ以前は「患者」と一般名詞を使っているものが、「心臓病の患者」と具体的になってます。
したがって、この2つの文の接続表現は、具体化―すなわち「例示」―となります。

「たとえば」が適切そうですね。このようなパターンが「例示」です。


◆帰結


帰結というのは、前半に置かれた議論に対して結論を述べるようなものです。

帰結を表す接続詞は、「だから」「したがって」「それゆえ」などがあります。意味的にはほぼ同じですが、この順に硬い言い方になります。

◆転換


ではちょっと長文ですが、こんな例文ではいかがでしょうか。

★――――――――――――――――――――――――――
区別は区別された両方のものが存在していな<てはその働きを失ってしまう。すべての人間が正気であり善人であれば、狂気と正気、善人と悪人の区別は無用となるように。だが時には人はこのことを忘れる。例えば周知とのごとく、デカルトはわれわれの経験する世界はすべて悪霊の欺きであり、幻ではないか、という疑いを彼の議論の初めに置いた。  歯痛や肩こり、重い病気、喜怒哀楽、食べ物飲み物、こうしたものまですべて幻である、というときにはもう「幻/現実」という区別はぬけがらになっている。幻の金で幻の食事をして幻の腹痛をおこし、幻の医者にさらに飼の余をおられて幻的に怒る、ということになるからである。
――――――――――――――――――――――――――★


さて、この  には何が入るでしょうか。ちょっと考えてみてください。

論理学の勉強をするのにテキストに使った哲学書はこんな文章が多いです。

何かの議論に対して、自説を分離して、明確に説明・強化するためにはどうしてもこういう入り組んだ文章になるもののようです。こうした文章を読み解くのにはどうしても、ここで紹介している「接続詞」の連結概念が必要になります。逆に言えば、この接続詞の使い方で、何を論旨として強調しようとしているかを読み解くのですが。

さて、この文章には3つの論点があります。それを分解してみましょう。

 A 区別は区別された両方のものがなければ成立しない。
 B 時に人はそれを忘れ、すべては幻ではないかと疑う。
 C すべてが幻ならば「幻/現実」という区別は成立しない。

ここで言いたい(主張)のは、Cの部分ですね。AとBは「だが」で接続されていて、Aで「両方がなければ成立しない」と言っておきながら、Bで「幻ではないかと疑う」ということに主題が置き換わってます。これが転換です。しかし、最後にふたたび「区別は成立しない」となっています。つまり、再度転換を起こして元に戻っているんですね。

したがって、ここには、転換を表す「だが(しかし)」が入るのが正しそうです。

■7つのパターンを覚える


紹介した7つの接続パターン

 付加/理由/例示/転換/解説/帰結/補足

のいくつか代表的な例について紹介しました。

論理的な文章はこのように、それぞれの文に対して、論旨や論点がどのように変化していくかを追跡していくことで、論理全体を読み取っていくということです。

わりと考えなしに勢いで使っていた接続詞も、結構重要なんですね。
これからはちょっと気をつけて使いたいと思います。

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