多くの仕事の中で、自分の能力をフルに使わないといけない仕事は、自分の持っている専門知識を使って「ものごと」を分析して、その分析結果に基づいて次の行動につなげていくという作業なのではないでしょうか。


 「××について検討しなさい」
 「○○について調査しなさい」
 「○○の課題はどのように対応しようと考えるか?」

こんな課題が与えられた時に、上司をうならせる分析手法があります。
私はこれを

 ものの見方の定番

と呼んでます。

このシリーズ(最近多いなぁ)はこれらを一気に紹介します。

本日はその第 8 回目。構造 をご紹介します。


「木を見て森を見よ」というのが、論理的な説得力を高める手段です。

目の前の現象だけにとらわれていては、本質は見えてきません。
何事も、他のモノやコトとの関係の中で存在しているのです。

このそれぞれのモノやコトに対する関係性を「構造」と呼んでます。

もっというならば、あらゆるものごとは全体の中で存在している部分なのです。その全体は、構造と呼ぶことができます。したがって、いかにして構造を見抜けるかが、物事の本質をつかむうえで重要になってくるのです。

たとえば、サイコロを思い出してみてください。いま 5 の目が見ています。

ひとつづつの点があるのですが、ひとつづつの点は単なる点です。これが5つ集まって、5という目を表現しています。
つまり、黒い点自体が 5 を表すことはありませんが、その集合は、黒い点ひとつづつの集合ではなく、別の意味を持つ 5 という数字を表すことができるようになっています。

2つの事象だけで考えると、その構造はそれほど難しくはならないのですが、これが 3 つ、4 つ、5つ増えるにつれて、それぞれの関係性は非常に複雑なものになります。
たとえば、3つの場合は、それぞれの関係性を繋ぐと 3 本の線によって表されますが、4 つになれば、それぞれの関係性は 6 本の線が必要です。さらにこれらの関係性自体が、様々な側面や結びつきの強さみたいな太さや色がある線だと考えれば、複雑極まりないものになっていることは想像に難くありません。

すべての事象に関係性があるわけではありませんが、現実世界では相当複雑な関係があって、巡り巡って何かに影響をしているということが少なくありません。
こういうのを、きちんと表現できるような視点が、構造視点になります。

サイコロの例に戻ると、5 という数字は、全体の形の中での「点」の存在について論じないと欠落が生じます。
論理は理屈で構成されるので、欠落の指摘はすなわち論理破綻に繋がる可能性が高くなります。




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