今日はライバルにはあまり読ませたくない本の紹介。

さまざまな交渉や営業活動、あるいは対人関係において、自分の望む答えを相手に言わせることができますか?
結構難しいですよね。これをやってしまう力のことを「影響力」といいます。その影響力はどうやったら生まれるんでしょうか。

よく周りを見渡してみると、「この人交渉上手だな」「この人が言うとみんな従うなぁ」と思わせる人がいると思います(もちろんその人の地位もあるでしょうけど)。その人たちと、どこがどう違うと、こうことごとくうまくいかない状態になるんでしょう?

著者は、これを6つの力に分類してます。すなわち、
  返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性
の6つです。あまり聴きなれない言葉もあると思いますが、なんとなくわかるものもありますよね。

「残席10席、早い者勝ち!」なんていわれると、早く買わなきゃ、と思ったりしますよね。これが「希少性」という影響力です。

嫌いな人から頼みごとをされたら、即座に断るけど、「いい人だな」と思っている人から、「ちょっと申し訳ないけど…」って頼まれたら、ちょっとくらいならやってあげたいなって思えますよね。これが「好意」の力です。

これらがしっかり意識できて、武器として使えれば、あなたの未来はばら色かもしれません。

「影響力の武器」は理論編(第2版も出てます)と実践編の2冊があり、いずれも、上記の6つの影響力について、理論編はその背景を中心に、実践編はその実例を中心にかかれてますが、どの本も非常に豊富な実例が載っていて、それをまねるだけでも、十分に役立ちそうですが、理論編でしっかり学んで、練習を繰り返していくともっとうまく使えそうです。

ただ、邪心を持ってこの本を読むと、立派な詐欺師になれそうです。だから、邪心のある人は読まないでください。それほど強烈にインパクトのある1冊です。


■リンク



★アマゾン

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか


影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣



影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか


★楽天
影響力の武器

影響力の武器
著者:ロバート・B.チャルディーニ
価格:3,465円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る



影響力の武器(実践編)

影響力の武器(実践編)
著者:ノア・J.ゴールドスタイン
価格:2,100円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る


影響力の武器第2版

影響力の武器第2版
著者:ロバート・B.チャルディーニ
価格:2,940円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る




■ポイント


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
承諾誘導の実践家が相手からイエスを引き出すために使う戦術は何千とありますが、その多くが六つの基本的なカテゴリに分類できるということです。それぞれの力テゴリーは、人間行動を導く基本的な心理学の原理に支配されており、このことが、用いられる戦術にパワーを吹き込んでいるのです。これらの原理−返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性−は、社会でどのように機能するのだろうか。説得のプロたちが、どのようにそれらの原理がもつ巨大な力を巧みに組み合わせて購買、寄付、譲歩、投票、同意を獲得する要請に仕立て上げていくのだろうか。
このような観点から、それぞれの原理を検討するつもりでいます。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.自然環境のなかで動物の行動を研究するエソロジストは、
 多くの種の動物の行動が固定的で自動的なパ夕ーンとして
 生じることが多いことに気づいていた。これは固定的行動
 パ夕ーンと呼ばれるが、こうした行動の連鎖は、人間の
 自動的反応(力チッ・サー)と類似している点で注目される。
 人間もそれ以外の動物も、その自動的な行動パ夕ーンは、
 状況内にある関連情報の単一の特徴によって引き起こされる
 傾向がある。この単一の特徴すなわち引き金特徴は、それが
 あることによって状況内のそれ以外の情報を逐一慎重かつ
 完壁に分析することなしに一連の正しい行動を決定できるので、
 大変貴重なものとなることが多い。
2.このような簡便反応の利点は、その効率性と経済比にある。
 役に立つことが多い引き金特徴に自動的に反応することによって、
 人は、貴重な時間やエネルギー、精神能力を失わずにすませる
 ことができるのである。
 この種の反応の欠点は、愚かで高くつく問違いを犯しやすく
 なることにある。利用できる一片の情報だけ(通常はその
 結果が予想できる一片であっても)に反応することによって、
 特に自動的に何気なく反応しているときに間違いを犯す可能性が
 増してしまう。他の人が、不通切なときにその人にとって
 望ましい行動を人に(引き金特徴の操作によって)起こさせて、
 それによって自分が利益を得ようとしているとき、間違いを
 犯す可能性はいっそう高くなる。
3.承諾の過程(ある人が行う要請に対して別の人がそれに従う
 ように促される過程)の多くは、自動的な簡便反応を行おう
 とする人間の傾向によって理解することができる。私たちの
 文化のなかでは、大多数の人が、承諾を導く引き金特徴
 (どういう場合に要請に応じるのが正しく、また利益になるか
 を教えてくれるような一連の晴報)をもつようになってきている。
 これらの特徴を(影響力の)武器のように使って、人びとを
 承諾するように導くことが可能である。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P93(56)━返報性━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.社会学者や人類学者によると、人問文化の規範のなかで最も
 広施囲かっ基本的なものの一つに返報性のルールがある。
 このルールは、他者から何かを与えられたら自分も同様に
 与えるるように努めることを要求する。返報性のルールは、
 行為の受け手が将来それに対してお返しをすることを義務づける
 ので、人は自分が何かを他者に与えてもそれが決して
 失われるわけではないことを確信できる。このルールに
 将来への義務感が合まれることによって、社会にとって
 有益なさまざまな持続的人間関係や交流、交換が発達する
 ことになる。したがって、社会のメンバーはすべて、この
 ルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的
 不承認を被ることを子供のころからたたき込まれる。
2.他者の要請を受け入れるか否かの決定は、しばしば、返報性の
 ルールによって影響を受ける。承諾誘導の専門家が好んで使う
 儲けの手口の一つに、最初に何かりえておいて、相手から
 お返しを求めるという方法がある。このやり方が効を奏するのは、
 返報性のルールに合まれる三つの特徴による。
 第一に、このルールは、極端なまでに強力な力をもっており、
 普通は要求を受け人れるか否かを決めるはずの諸要因の影響力を
 凌駕してしまう。
 第二に、このルールは、望みもしない好意を最初に相手から
 受けた場合にも適用されるので、借りを作るなら誰に
 したらよいかを、自分で選ぶことができなくなり、その選択を
 他者の手に委ねることになる。
 第三に、このルールによって不公平な交換が導かれることがある。
 思義という不快な感情を取り除こうとするために、人は親切を
 施された相手から何か頼まれると、お返しにそれ以上の事を
 してあげることが多い。
3.返報性のルールで承諾を導くもう一つのやり方として、
 この基本的テーマの単純なヴァリエーションがある。
 最初に思恵を与えてその見返りを期待する代わりに、
 最初に譲歩して、そのお返しとして相手の譲歩を引き出す
 のである。これが、「拒否したら譲歩」法あるいは
 ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれる
 手続きであり、相手の譲歩に返報しなければならないという
 圧力に依存するやり方である。確実に拒否される極端に大きな
 要請から始めて、次にそれより小さな要求(もともと目標
 としていた要求)に引き下げる。そうすると、要求の引き下げが
 譲歩に見られるため、小さな要求を受け入れる傾向が強まる。
 研究によると、「拒否したら談歩」法を使うと、相手が
 イエスと言う傾向が強まるだけでなく、相手がその要求を実行し、
 将来の同じような要求にも同意する傾向が強まる。
4.返報陸のルールを使って私たちの承諾を得ようとする人に対する
 最善の防衛法は、他者の最初の申し出を常に拒否してしまうこと
 ではない。むしろ、最初の好意や譲歩は誠意をもって受け入れ、
 後でトリックだとわかった時点で、それをトリックと再定義
 できるようにしておくことである。そのように再定義すること
 ができれば、受け取った好意や譲歩を返さなければという
 気待ちになることはないであろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P99━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとたび決定を下したり、ある立場をとると、そのコミットメントと一貫した行動をとるように、個人的にも対人的にも圧力がかかります
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P121━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
小さな要請から始めて、関連する大きな要請を最終的に承諾させるという方略は、「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P127━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
中国人が絶え間なく捕虜に促したコミットメント行動のひとつに、意見を文字にして書かせるということがありました。
捕虜が中国側の主張を静かに聞いたり、口頭で同意するだけでは決して十分ではあり粗ませんでした。同じことを書き記すように常に促されたのでした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P147━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フラ夕ニティの「かわいい後輩」を神経質な笑い声を上げながらひっばたいたりするのは、サディズムがなせるわざではありません。集団の存続のために必要な行為なのです。奇妙なことですが、そのような行為によって、これからメンバーになる人は自分が属する集団を魅力的で価値があるものと思うようになっていくのです。苦労して手にいれたものを好きになり、またそれを
信じるようになることが真実である限り、これらの集団は努力を要する困難な加入儀礼を続けていくことになるでしょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★



★P180━コミットメントと一貫性━━━━━━━━━━━━━━━
●ほとんどの人には、自分の言葉、信念、態度、行為を一貰した
 ものにしたい、あるいは、他の人にそう見られたいという欲求が
 あることを、心理学者はずっと以前から認識していた。この欲求は、
 三つの要素によってもたらされる。
 第一に、一貫件を保つことによって、社会から高い評価を受ける。
 第二に、公的なイメージに及ぼす影響は別にしても、一貫性のある
 行為は、一般的に日常生活にとって有益である。
 第三に、一貫性を志向することで、複雑な現代生活をうまく
 すり抜ける」貴重なな簡便方略が得られる。すなわち、以前の
 決定と一貫性を保つことで、類似した状況に将来直面したときに、
 関連するすべでの情報を処理する必要が少なくなり、以前の決定を
 思い出して、それに一貫するように反応しさえすれば良いことになる。
●承諾誘導の世界では、鍵となるのは、最初のコミットメントを
 確保することである。コミットメント(つまり、自分の意兄を
 言ったり、立場を明確にすること)をしてしまうと、人は
 そのコミットメントに合致した要請に同意しやすくなる。
 したがって、多くの承諾誘導の専門家は、後で要請しようとしている
 行動と一貫するような立場を最初にとらせるように誘導する
 のである。しかし、すべてのコミットメントが、後でそれと
 一貫した行動を同じように効果的に引き出せる訳ではない。
 行動を含み、公にされ、努力を要し、自分がそうしたかったのだ
 (強制されたのではない)と見なされるコミットメントが
 最も効果的である
●コミットメントを伴う決定は、それが間違っているときでさえ
 「自分を支える脚を作る」ことができるので、人はその決定に
 固執するようになる。つまり、多くの場合、人は自分がした
 コミットメントについて、それが正しいということを示す
 新しい理由や正当化を付け加えるのである。その結果、
 コミットメントを生み出した状況が変化したずっと後でも、
 そのコミットメントの効力が待続することになる。このような
 現象によって、「ローボール・テクニック」のような、人をだます
 承諾誘導のテクニックがを説明することができる。
●承諾の決定に対して一貫性への圧力が過度に影響することを
 認識し、それに抵抗するには、体のなかの二つの部位−胃と、
 心の奥底−から送られる合図に耳を澄まさなくてはならない。
 胃からのサインは、コミットメントと一貰性圧力によって、
 やりたくないと思っている要請に同意させられそうになっている
 と気づいたときに現われる。そのような状況では、要請者が
 しているような承諾誘導は馬鹿げた一貫注を作り上げるもので、
 自分はそれに関わりたくないということを要請者白身に対して
 説明するのが一番よい。心の奥底のサインの場合は、これとは
 違う。最初のコミットメントが間違っているかどうか明確で
 ないときに、最も効果的に用いることがてきる。その場合、
 「今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、
 同じコミットメントをするだろうか」という厄介な質問を
 自分自身に問いかけなくてはならない。そのとき、役に立つ
 答えをもたらしてくれるのは、最初に湧き上がってきた感情である。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★



★P223━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一般的に言って、緊急援助が必要な場合の最善の方略は、あなたの状況と、周囲の人たちの責任に関する不確かさを低減することです。助けが必要であることを、できるだけ正確に言いましょう。
傍観者が、自分一人て結論を出すようにさせてはいけません。特に群衆のなかでは、社会的証明の原理とそこから生じる集合的無知の効果によって、あなたの匿かれている状況が緊急事態ではないと見られてしまうかもしれないからてす。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P225━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
他のすべての影響力の武器と同じように、社会的証明の原理が特に強く作用する条件がいくつかあります。その一つが不確かさてす。どう振る舞えばよいのか確信がもてないとき、
入は他者の行動を参考にして自分の行動を決める傾向があります。このことに疑問の余地はありません。もう一つの重要な条件は類似性です。社会的証明の原理は、自分と似ている人の行動を見ているときに最も強く作用します。どう振る舞うのが通切なのかを考えるとき、一番参考になるのは自分と類似した他者の行動です。
したがって、私たちは、自分と異なる人よりも類似した人が示す行動に従いやすいものなのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P260━社会的証明━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・社会的証明の原理によると、人がある状況で何を信じるべきか、
 どのように振る舞うべきかを決めるために使う重要な手段の一つは、
 他の人びとがそこで何を信じているか、どのように行動しているか
 を見ることである。他人を模倣することの強力な効果は、子どもで
 も大人でも見られ、また、購買における意思決定、寄付行為、恐怖心
 の低減など、多様な行動領域で認められる。社会的証明の原理を、
 他の多くの人びと(多ければ多いほどよい)が要請に応じた、
 あるいは応じていると告げるという形で使うことによって、ある人が
 その要請に応じるように促すことができる
・社会的証明は二つの状況において最も強い影響力を持っ。一つは
 不確かさである。人は、自分が確信をもてないとき、あるいは状況
 が曖昧なとき、他の人びとの行動に注意を向け、それを正しいもの
 として受け入れようとする。たとえば、状況が明確な緊急時よりも
 暖味な状況における方が、援助をするか否かについて行う傍観者の
 決定は他の傍観者の行動に大きく影響される。社会的証明が強い力
 を発揮する第2の条件は類似性である。すなわち、人は自分と似た
 他者のリードに従う傾向がある。類似した他者の行動が人びとの
 行動に強い影響力を持つことを小す証拠は、社会学者
 デイビッド・フィリップスが収集した自殺統計のなかに容易に見て
 取ることができる。こうした統計は、広く公表された自殺記事の後で、
 その自殺者と類似した悩みを抱えている人が自殺することを示して
 いる。ガイアナのジョーンズ・夕ウンでの集団自殺の分析からは、
 集団のリーダーであったジム・ジョーンズ師が大部分の
 ジョーンズ・夕ウンの人びとから動物の群れのような自殺反応を
 引き出すために、不確かさと類似性の両方の要因を使ったことが
 示唆されている
・誤った社会的証明に影響されないために必要なのは、類似した
 他者が行っている明らかに偽りの証拠に対して敏感であること、
 類似した他者の行動だけを私たちの決定の基礎にしてはならないこ
 とを肝に銘じることである。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P325━好感━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。
 この単純なルールは、好意が形成されるプロセスに影響を及ぼす
 要因について学ぶ機会を私たちに与えてくれる。承諾誘導の
 専門家が自分の全体的魅力を高めることで取り引きを有利に
 導こうとして、どのような要因を強調しているかを調べて
 みればよい。承諾誘導の実践家はそのような要因のいくつかを
 常時使っている。
・全体的な好意に影響する要因の一つとして、その人の身体的魅力が
 あげられる・身体的な美しさが社会的相互作用のなかで有利に働く
 ことは、ずっと以前から気付かれていたが、研究の結果によれば、
 その有利さはわれわれが想像している以上のものである。
 身体的魅力はハロー効果を生じさせ、才能や親切さや知性など
 他の特性についての評価を高める。その結果、魅力的な人の方が
 自分の要求を呑ませたり他者の態度を変化させる際の影響力が
 強い
・好意と承諾に影響する第二の要因は類似性である。私たちは自分と
 似た人に好意を感じ、そのような人の要求に対してはあまり考えずに
 イエスと言う傾向が強い。好意を高めるもう一つの要因に称賛がある。
 あまり露骨だとかえって反感を買うが、お世辞は一般に好意を高め、
 承諾を引き出しやすい
・人や事物と接触を繰り返すことによって親密性を高めることも、
 好意を促進する一つの要因である。この関係は、不快な環境よりも、
 快適な環境のなかで接触が起こる場合に主として当てはまる。
 特にこの関係が強く生じる快適な環境の一つに、相互の協力で
 成功がもたらされる環境がある。好意と結びつく第5の要因は
 連合である。広告担当者、政治家、商人は、自分自身や自分が
 扱う製品と望ましいものとを結びつけ、連合のプロセスによって、
 その望ましさを分かちあおうとすることが多い。この他の人びと
 (たとえば、スポーツファン)も単純な結びつきに効果がある
 ことを認識しており、好ましい事象と自分が結びついていること、
 好ましくない事象と自分が切り離されていることを他者の目に
 印象づけようとする。
・承諾の決定に対して好意が不必要な影響を及ぼすことを防ぐのに
 有効な戦略は、要請者に対する自分の過度の好意に特に敏感になる
 ことである。ある状況で要請者に尋常でない好意を感じたら、
 その社会的相互作用から一歩退き、要請者とその申し出の内容を
 心のなかで区別し、申し出のメリットだけを考えて承諾の決定を
 下さなければならない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P364━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そこで、「この権威者は本当に専門家なのだろうか」という質問が価値をもってくるのです。この問いかけが、自明な事柄に私たちの注意を向けさせてくれるからです。私たちは、こう自問することによって、おそらくは意味のないソンポルに注意を向けてしまうことから権威の本当の資格のことを考慮するようになります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P365━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
権威者の影響力に従ってしまう前に、2番目の簡単な質問を発するべきです。
 「その専門家は、どの程度誠実なのだろうか」。
たとえ最も多くの情報をもっていたとしても、権威者はその情報を正直に私たちに提示しないかもしれません。したがって、その状況における彼らの誠実さを考慮に入れる必要があるのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P372━権威━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・服従に関するミルグラムの諸実験から、権威からの要求に服従
 させるような強い圧力が私たちの社会に存在することがわかる。
 正常で心理的に健康な人たちの多くが、権威者から命令されると、
 自分の意に反して、危険で極度の痛みを進んで他者にりえた。
 正当な権威者に従うこうした傾向は、そのような服従が正しい
 という考えを社会のメンバーに植えつけようとする、体系的な
 社会化から生じている。さらに、本当の権威者は優れた知識と
 力をもっているのが普通なので、そうした人の命令に従うことは
 適応的な行為てあることが多い。このような理由から、権威者に
 対する服従は、一種の短絡的な」品思決定として、思考が
 伴わない形て生じてしまうのである。
・権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく
 権威の単なるシンポルに反応してしまう傾向がある。この点に
 関して効果のあることが実験で明らかにされている。
 三種類のシンポルは、肩書き、服装、そして装飾品である。
 これらのいくつかを所有している(そして、他の正当な資格を
 もっていない)個人は、実験場面において、相手から多くの
 承諾を得た。さらに、いずれの場面においても、服従した人は
 自分の行動に及ぼす権威者の影響力の効果を過小評価していた。
・2つの質問を発することによって、権威者の影響力による有害な
 効果から自分白身を守ることができる。すなわち、
   この権威昔は本当に専門家なのか
   この専門家はどの程変滅実だと考えられるか」
 てある。最初の質問は私たちの注意をシンボルからそらし、
 権威者の地位を示す証拠と向けられる。
 二番目の質問 は、その状況における専門家の知識だけでなく、
 彼らの誠実さも考慮することを私たちに教えてくれる。
 二番目の質問に関しては、信頼を増すために使われる策略が
 あることに注意しなくてはならない。つまり、最初、専門家は、
 自分自身にとって少し不利な情報を私たちにに提供する。
 そうすることによって、自分を誠実そうに見せかけ、その後に
 提供するすべての情報が観察者にとって信頼できるものである
 ように思い込ませるのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P427━希少性━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・希少性の原理によれば人は、機会を失いかけるとその機会を
 より価値あるものとみなす。この原理を利益のために利用する
 技術として、「数最限定」や「最終期限」といった承諾誘導の
 戦術があげられる。これを使う実践家たちは、白分たちが提供
 しているものを手に入れるにはその量や時間に限りがあることを
 私たちに信じ込ませようとする。
・希少性の原理が効果をあげる理由は二つある。第一に、手にする
 ことが難しいものはそれだけ貴重なものであることが多いので、
 ある品や経験を入手できる可能性がその質を判定する手っとり
 早い手掛りとなる。
 第二に、手に入りにくくなると、私たちは自由を失うことになる。
 心理的リアク夕ンス理論によると、この場合、以前よりも自由
 (および自由に関連する品やサービス)を欲するという形で、
 自由の喪失に対して反応する。
・行動を動機づけるものとして、心理的リアク夕ンスは生涯の
 大部分を通して現われる。しかし、それが特に顕著になる
 時期がある。「おそるべき二歳」と十代である。
 これらの時期はいずれも、個別比の感覚が現われてくるという
 特徴があり、この感覚が、コントロール、権利、自由といった
 問題を際立たせる。その結果、この時期にある者は、制限される
 ことに対してとりわけ敏感であるの」
・希少性の原理は、商品の価値の問題だけではなく、情報の評価の
 され方にも適用できる。研究の示すとこるによると、
 あるメッセージに近づくことが制限されると、人は、それを手に
 入れたくなり、また、好ましく思うようになる。しかし、
 制限された清報はより説得力がある、というもう一つの知見の方が
 興味深い。検閲の例を兄ると、この効果はメッセージを受け
 取らない場合でも生じている。メッセージを受け取った場合でも、
 もし、そのメッセージが独占的な情報を合んでいると見なされた
 ときには一層効果的になる。
・希少性の原理は、二つの最適条件のもとで最もよく適用できると
 思われる。第一に、希少なものの価値は、それが新たに希少なもの
 となったときに一層高まる。すなわち、すでに制限されている
 ものよりも、新たに制限されるようになったものの方に、
 より価値が置かれる・第二に、私たちは、他人と競い合っている
 ときに、希少陸の高い物に裁も引きつけられる。
・希少性の圧力に対して、心を鬼にして、理屈で対抗するのは
 困難である。それが、思考を困難にしてしまうような情動を
 引き起こす性質を持っているからである。その防御としては、
 希少性を含むような状況では、頭にカッと血が上って
 しまわないように注意することを心がけるとよいかもしれない。
 いったん血がのぽってしまったなら、まず興奮を静め、
 次になぜそれを欲しいのかという観点からその機会の利点を
 評価するというステッブで対処することができる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P443★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
相手に応酬するためには、私たちは積極的にポイコット、脅し、対決、非難、弾劾演説、その他のあらゆる手段に訴えることが必要なのです。私は、自分がもともと喧嘩好きな人間だとは思っていません。その私が積極的にこのような喧嘩腰の対応を唱道しているのは、これがある意昧で、搾取をする人に対する私自身の、そして私たちすべての戦いだと考えているからなのです。
ただし、利益を得ようとする動機が敵意を抱く原因ではないことを認識しておくことは是非とも必要です。そのような動機は、誰もが多かれ少なかれもっています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


★P445━手っ取り早い影響力━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・現代の生活は、過去のいかなる時代とも異なりている。科学技術の
 驚くべき発展によって、情報が溢れ、選択の幅が拡大し、知識が
 爆発的な勢いで増加している。このような変化と選択の洪水に
 対して、自分自身を調整する必要が生じてきた。基本的な
 調整の一つは、決定のヤり方に表われている。
 どのような状況においても、私たちはできるだけ思慮深く、
 十分に検討を加えた上で決定を下すことを望んではいるが、
 現代生活の形態が変化し、ペースが加速度的に速まってきたことで、
 賛成と反対の立場を注意深く分析するのに適した条件が整わない
 ことが多い。そして、別の意思決定のやり方に訴えざるをえない
 ことが次第に多くなってきている。通常は信頼性の高い単一の情報を
 基礎にして承諾(すなわち、同意したり、信じたり、何かを買うこと)
 するか否かの決定を行う、という方法である。本書では、最も
 信頼性の高い、それゆえ最もよく使われる承諾誘導の引き金に
 ついて述べてきた。コミットメント、お返しの機会、類似した
 他者の承諾反応、好意あるいは友愛の感情、権威からの命令、
 希少性に関する情報である。
・私たちの社会では認知の過剰負荷の傾向が強まっているので、
 それに比例して簡便な意思決定を行うことが多くなってきている。
 承諾誘導のプロは、相手に影響力を与える引き金をいくつか
 要請のなかに忍ばせておくことによって、成功する可能性を
 高めている。実践家がこのような引き金を使うこと自体は、
 必ずしも搾取的なこととは言えない。引き金がその状況の
 なかにもともとある自然なものではなく、実践家が埋造する
 場合が問題になるのである。私たちが簡便反応によってもたらされる
 利益を失わずにいるには、あらゆる適切な丁段を使って、
 そのようなインチキに対抗することが重要である。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ 

■同じテーマの記事

少しだけの成功を積み重ねる

野球でいえばサヨナラ満塁ホームランなんて打てたらかっこいいですよね。シングルヒットを打つ(期待に応える)すべてができるわけではないのだから、しようとしないこと。すべきことだけを、きちんとする。ホームランを狙って、十打席のうち九打席で三振に終わるより、コンスタントに一塁に出るほうがずっといい。私がマッキンゼーに入ってまもなく、ニューヨーク支社で州北部のリゾ..

お世辞も言わねばサラリーマンは務まらない

お世辞やゴマすりが人間組織の歴史からなくならないのは、それが効果があるからです。「お世辞で上司に取り入る」というとなんだか聞こえが悪いですが、上司にうまく取り入っていかないとサラリーマンとしては仕事が続けにくいです。上司に嫌われて、仕事がうまく行かなくなったという例は、枚挙にいとまがないですが、上司に好かれて仕事がしにくくなる、というのはたぶんそうそうありません(よほど持っているスキルとかけ離れた仕事を割り当てられない限り)。..

業界の専門家に見えるようにする

業界人に見えないように頭をリフレッシュして生きる業界人に見えない人の特徴は、まだ入社間もないか、相当仕事ができる人のはずだ。業界の枠に閉じこもっていないという点で共通している。私のコンサル時代にもこれはそのまま当てはまり、飛び抜けて優秀なコンサルタントは決まってコンサルタントらしくなかったものだ。絶対に利口ぶらないし、プライベートでは理屈っぽくないし、自分からわざわざ経歴をひけら..

良い有給休暇・悪い有給休暇のとり方

有給休暇はサラリーマンの権利です。最近はウチの会社では部門ごとに有給休暇消化率を調査されて、消化率が悪いと人事から「おしかり」を受けることも。仕方がないので、年間の有給休暇予定を Excel で書き込んでもらって計画的に休むような管理をしたりしています。本日は、病気・事故などの緊急時ではない有給休暇の取り方について、ちょっと考えてみたいと思います。悪い有給休暇のとり方有給休暇を取れない理由としてよくあげられるのが・仕事が忙しい・タイミングがとれない(欠席できない..

合意したけど賛成してない―結論は他人の物

いろんなルールを作るけど、ルールがルールとして守られるのは、たぶんほんの一部です。特にルールが賞罰に影響しないものだったり、イチゼロで判断できないようなものだったりすれば一層。とくに、「会議をして全員で決めたのに、結局何も変わらない」なんてのは組織で動いているとよくあることです。たとえば、「帰宅前に机の上を片付けて帰ろう」みたいなルールを決めたのに、1週間もすればもう元の木阿弥。まぁ人間なんてこんなもんなんですけどね。なぜ決..

魅力的な名前をつける

自分が考えたアイディアや商品にどういう名前をつけるといいのかというのは、じつは心理学的にはいろいろ研究されてます。もし、何かを提案する、開発するみたいなリーダーになったら、名前を考えるというところに労力を使うといい結果が得られるかもしれません。クレヨン箱の中にある説得のヒントクレヨンの色の名前が素朴だったのは、遠い昔になってしまいました。いま新しいクレヨンの箱を開けてみれば、緑..

新しいシステムには一番協力してほしい人の名前を入れる

なにか新しいことがやりたい時に、ひとりでは出来ないので、協力者がほしいですね。そういう時に、協力者を巻き込んでしまう秘策があります。アンドルー・カーネギーの成功の秘訣は何か?カーネギーは鉄鋼王と呼ばれているが、本人は製鋼のことなどほとんど知らなかった。鉄鋼王よりもはるかによく鉄鋼のことを知っている数百名の人を使っていたのだ。しかし、彼は人のあつかい方を知っていたそれが、彼を富豪..

人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい

部下や後輩が話しかけてきた時に何かをしていると、ついそれをやりながら、「ん。了解。」とやってしまうことがあります。あるいは、会議の時に、発言者の方を見ずにひたすら PC に何かを打ち込んでいるとか。これが "いかん" とはわかっているつもりなのですけどね。「あなたを愛しています」のメッセージ人の話をよく聞くことは、ビジネスの世界だけでなく、家庭生活でも同じようにたいせつ..

上司が話しているときは大げさに相槌を打つ

サラリーマンにとって、上司は好きだろうが嫌いだろうが、自分に最も影響力のある人です。まぁ、「支配下におかれている」という意識がある以上、「上司が好き」という人は少数なのかもしれません。心理的にはやっぱり反発がありますので。一方で、上司はというと、部下の中で「好き」に近い人から「嫌い」に近い人までいろいろ。ただし、「大嫌いで話もしたくない」という部下はあまりいないと思います。上司からみると部下は自分の成果を生み出してくれるパーツのひとつと認識しているので、自分を守るよう..

上司が部下の相談に乗ってくれないのはなぜ?

部下が困っていることに対しては、アドバイスしたり解決の手助けをしてあげるのが上司の仕事のひとつです。ただ、実際には「相談に乗ってくれない」「ありきたりな指示しかされない」「余計な仕事が増える」など、否定的な経験のほうがおおいのではないでしょうか。なぜ上司は部下の困り事に親身になってくれないのか私は 28 歳のとき、新規事業部門の部長職を拝命しました。全国に、30 名以上の部下がいま..