何かのプロジェクトを始めたのだけど、なかなかうまく行かない。思うように進まない。
といって、今更辞めることになれば、今までやってきてことが無駄になるので辞めるわけにもいけない。

予定はズルズル遅れていて、計画見直しが続き、メンバーからは「結局、これって何がしたいんだっけ?」と聞かれる始末。

いろいろな問題を解決するために、手を打ってはいるが、逆に対策することが目的になってしまっていて、本来欲しかった成果に向かって進んでいないような気がする。いくらやっても、ゴールとの距離は開きも狭まりもしない。

■ゴールに向かっているか

いきなり、嫌な展開ですが、こういうことってままありますよね。
どうしても気になるのが、

 「ここまでやったのだから」

といういわゆる「サンクコスト」。
企業全体としても、ある事業に参入したはいいけど一向に目が出ないけど、その事業を整理することもせずに、ズルズル続けていて本業も傾いてしまうなどという事例が報道されることがありますが、個人でも同じような状態になることが結構あります。

私もいつもプロジェクトを5つ〜8つくらい抱えていて、それが自分発案であることも少なくありません。その中には、まったく目が出る気配がない物もあります。

その時に、きちんとゴールに向かって進めているかを測定する手段がないと、どうしても「サンクコスト」に目が行ってしまい、他になにかやれる方策はないかを考え続けている状態になってしまいます。

必要なのは測定手段を用意して、プロジェクトの進捗具合を測定することだとはわかるのですが、実際に測定するという方法は、案外難しいものです。

■マイルストーン

そこでよく使われる手段が、「マイルストーン」。

つまり、プロジェクト全体をいくつかの塊に分解し、その塊ごとに小ゴールを決め、その小ゴールが達成できているかを確認する方法です。

ただ、これも、マイルストーンが達成できていないと、結局、マイルストーンを先延ばしにするだけで、時間稼ぎにしかならないことがあります。


■トリガポイント

そこで私が決めているのが、「トリガポイント」。

例えば、

 ・もともと決めていたマイルストーンに対して、1週間延ばしても達成できそうもないときには、プロジェクトを中止する。
 ・×月×日までに、○○ができていないときには、プロジェクトを終了(ギブアップ)させる。

のような?對基準を設けてます。

その代わり、このトリガポイントは、「最低限ここまではできていたい」という本当に最低レベルの線。

これは絶対にずらしません。カレンダーに書きこんでおきます。
この日に、「○○ができていなければ、プロジェクト中止」と書いておきます。

そうすると、その時期が近づいてくると、なんとかその状態を達成しようとして必死になります。
もし、必死にやっても達成できなかった時には、

 ・自分にそれをやり切る才能(力)がない
 ・いまはそれをやる環境にない

のいずれかなので、

 プロジェクト強制終了

をさせます。そのプロジェクトは、

 ・また次に○○の状態になったら再開するかを決めて、それをノートに書き出して、×月×日にもう一度この再開条件が成立しているかどうかを判断する
 ・もう2度と手を出さない

のいずれかを選択します。

大切なのは、「×月×日に決める」と決めたら、絶対に変えないこと。


サンクコストは考慮しない判断条件を決めて、「これをやり続けることで本来の目標の結果が出せない」という冷静な判断ができるようにしておくことで、無駄な仕事をしなくて済むようになります。

仕事(プロジェクト)は、それがうまく行ったら期待通りの成果が出せるのは確かかもしれませんが、うまく行かなかったらただの無駄な時間浪費です。だから、絶対に動かせない(恣意的に判断しない)条件を最初に決めておくことで、冷静・論理的な判断ができるようになります。

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